今日のグルーヴ〈460〉
ずっと昔からドーピングはあったのだろうが、これが表面化してからも、オリンピックをはじめとするあらゆるスポーツのイベントでは、毎回のようにドーピングの問題がつきまとう。
しかし、誰よりも強く、速く、ということを突き詰めていけば、世界レベルの人達にとっては、いけないと思ってもドーピングに手を出しかねないだろう。
世界新記録とか世界一のレベルにある人達の中から、どうやって抜きん出るのか。おそらくあらゆる手段をすでに実践しているのだろう。そうなると、あとは、ドーピングに頼るしかない、という当然の成り行きになる。
この時点で、スポーツマンシップはなくなるどころか、いったい何のためにスポーツをやっているのか、というそもそも論に戻りかねない。
世界新記録という未知の世界に行ってみたい、という気持ちは分かる。しかし、スポーツの記録というのは、どこかで限界があるのではないか。例えば、陸上100メートルの記録は限界に近いように思える。走り幅跳びもすでに限界なのではないか。
その段階で、いったい何のために世界一になろうとするのだろう。世界一になれなかった大多数の人にいったい何が残るのだろうか。最近では、自分だけで完結せず、自分以外をおとしめる手段にされているから話はややこしい。
ここに至って、ナンバーワンになるよりオンリーワンを目指すべきだという考え方に共感を覚える。
ところが、ドーピングはオンリーワンの世界、例えば音楽、芸術の世界でもあったりするから、人間の業は深い。