今日のグルーヴ〈210〉


グルーヴ&バラード

ハーピストのSANAEさん、ヴァイオリニストの吉田篤貴(よしだ あつき)さんと一緒にグルーヴ論を展開することを開始している。


それまで私は音楽はすべてグルーヴである。どんな緩徐楽章もグルーヴが根底にある、と持論を展開していたが、実を言うと、言っておきながら多少無理があるような気がしていた。


勿論、グルーヴはどんな音楽にもあるし、グルーヴがないと、音楽ではないと思っているが、もう一つ何か洞察が足りないような気がしていた。


その時に、篤貴さんが、バラードという言葉を言ってくださったのだ。正にかゆいところに手が届いたようだった。なるほど、この言葉はグルーヴで表現しきれない部分をすべてカバーしてくれるような気がした。


吉田篤貴さんは、ヴァイオリニストしてはかなり広い分野にわたって演奏を展開している。ジャンルにしても演奏形態にしても、多岐にわたっている。


彼の演奏を聴くと、良い意味で野心的というのか、音楽を洞察し、そこから新しい音楽を自らクリエートしていることがうかがわれる。あらゆる音楽を視野に入れ、新たな世界を作ろうとしているのである。


かつて、コンチェルト弾きとか、室内楽奏者とか、オケマンとか、一人の演奏家を縛るような言葉がいくつもあった。しかし、何かに限定してしまうことほどつまらないことはない。


あのハイフェッツも、コンチェルトだけでなく、ソナタ、トリオ等を弾き、彼の全集の中で、コンチェルトはその一部に過ぎない。


昨晩行なわれた吉田篤貴初リーダーユニット『EMO Strings』のデビューライヴでは、篤貴さんのオリジナル作品を中心に、新しい音楽、音楽形態を展開されたが、まさにバラードとグルーヴの共存を証明してくださった。

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