今日のグルーヴ〈179〉
iPhoneのヘッドフォンが、ワイヤーレスになったことを知らなかった。凄い時代になったものだ。まるでアメリカの人気アクションドラマ「24」の世界だ。
歩きながら、何か作業をしながら、別の場所にいる人と議論をすることが楽にできるようになると思われる。コードはやはりかなり邪魔である。
また、今以上に、歩いている時に音楽を聴くことや、電車等での移動中に、動画等を視聴したり、電子書籍を読んだりすることが容易くできるようになるだろうから、我々は時間をまったく無駄にすることがなくなるに違いない。
その昔、携帯電話というのは想像もしなかった。携帯電話が一般的に使われ始めた時は、大変なカルチャーショックだった。その携帯もあっというまにスマホにとって代わられるようになったが。
昔の刑事番組を見ていると、電話を探す場面がよく出てくる。今から見れば、なんと効率の悪い、と思ってしまう。
また、パソコンで文章を書く、ネットに配信したり発信したりするということも想像ができなかった。
しかし、登場してみれば、携帯もスマホもパソコンも、こんな便利かつ必要不可欠なものが、何故もっと早く世にでなかったのだろうと思うくらいだ。
しかしながらその反面、時間の概念が変わってしまった。昔は、一日の流れにはメリハリがあった。季節感にもメリハリがあった。正月、盆、暮れだけでなく、その間には様々な行事や祭りがあった。そして劇的な衣替えもあった。
今はかなりそのあたりのメリハリは薄くなってきているうえに、いつも時間に追われている。仕事をしたり、勉強したりスポーツをしたり、というテンポ感も激変している。時間の速度はものすごく速い。
時間だけでなく、BGM、有線、スマホ、つまり、愛すべき音楽からも追われている。ゆえに一日があっという間に過ぎてしまう。
日本は、街中音楽に溢れているが、音楽の都ウィーンですら、街には音楽が溢れていない。あまりに静かなので、違和感を感じ、都会の喧噪が懐かしくなったほどだ。
というわけで、瞑想したり、リラックスしたりする時間や無念無想の時間が無くなってしまった。
人間が楽になるためのものが、かえって人間を追い立てている現状を今一度見直さないと、息切れしてしまう。
ところが不思議である。大学の同窓会で皆と過ごした時、何もしないでいた時間の流れはとても遅かった。
ゆえに、今日の収穫。一瞬でも立ち止まってみる瞬間、ゲネラル・パウゼは絶対に必要である。次のグルーヴを生み出すためにも。
今日もグルーヴィーな一日を。