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散歩を開始するのは春に限る。気温は適度で、体に負担がかからない。小川の流れの音、うぐいすのさえずり、ここに音楽があったことを忘れていた。
何せ空気が美味い。
ベートーヴェンは、散歩しながら交響曲の「田園」の構想を練っていたとか言われているらしいが、それで思い出した。「田園」の演奏の本番ではいい思い出がない。よりによって本番前日に高熱を発してしまったのだ。メディカルセンターに行き、医者に「明日、本番なんです。注射でもなんでもして、ビシッと直してください」と言ったところ、医者は「それは無理だろうな」と断わられてしまった。
田園はとても優雅に演奏できる楽曲ではない。特にトランペットは休みが多い割に、出てくるときは、清水の舞台である。この曲に限らず、ベートーヴェンのトランペットは、きつい、厳しい。古今東西、いろいろな作曲家がいるが、ベートーヴェンが一番しんどいのではないだろうか。
ハイリゲンシュタットまで、今はトラムに乗っていけば、すぐに行くことができるが、当時は時間が掛かっただろう。
↓ハリゲンシュタットのベートーヴェンの散歩道にて3
音楽の散歩道3
アッコルド編集長 青木 日出男
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