●仙台フィルが好き

 
— それで仙台フィルとの出逢いがありました。
 
仙台の人たちは仙台フィルをとても愛しているし、仙台フィルも地元に寄り添って熱い活動をしていますね。
 
そういえば早い時期から仙台フィルを通して震災支援をしていて驚きました。 震災の1週間後にセルビアに国際コンクールを受けに行くと、空港から町までの道にずっと日本の国旗が掲げられていたんです。それで感動して、はるか遠い日本で起こったことに対してこれだけ思ってくれる人がいるのに、自分で何かやらなきゃだめだと。
 
イギリスから帰国記念のCDを自分で作って売ることを思いつきました。被災地への思い、震災の話を直接逢った方として、いただいたメッセージをお金と一緒に届けようと思っていたので、自分の手売りを原則にして、500枚以上買っていただけました。
 
それで音楽の力で得たチャリティーだから、音楽の力に還元しようと思っていた時に仙台フィルと出逢えて、全額寄付させていただきました。
 
— 就任してまもなく1年半経ちます 。
 
1年目からとても濃厚な時間を過ごしました。本当に十分すぎるくらい、新米コンマスにとって大きなイベント続きでした。 まず「ロシア公演ツアー」では神尾真由子さんと、モスクワとサンクトペテルブルクで3公演しました。ロシアのお客様に感謝を伝えるために行ったはずが、終演後のスタンディング・オベーションに、逆に元気を頂いて感動感謝の気持ちでいっぱいでした。
 
昨年春には、仙台が世界に誇る「仙台国際音楽コンクール」でホスト・オーケストラとして、若手演奏家をサポートしました。古き友人やら後輩たちも参加していて不思議な感じでした。つい数年前までは僕も皆と同じところにいましたから。
 
僕は予選からガラ・コンサート、すべて皆勤賞で、90回以上コンチェルトを演奏したことになるとか(笑) 。スタミナ勝負です! そのほか「せんくら」でのリサイタル・デビューや、定期演奏会をはじめ多くのコンサートでもソリストとしてもデビューさせてもらいました。
 
— 2年目はどんな年に?
 
今振り返ると、1年目は初めて演奏する曲もたくさんありますし、ひたすら一生懸命に目の前のことを頑張ってきたと思います。2年目は、就任当時から思っていた、会場一致の幸福感を味わえるコンサートを作っていくために、いろいろやろうと思っています。
 
これは【演奏者】【スタッフ】【聴衆】の三者がひとつになって、一瞬でも、一音でも幸福感を共有できるコンサートのことです。仙台のお客様は最初は意外とシャイですが、認めていただけた時の爆発力はすごいものがあります!
 
— 震災から3年。これからどんな取り組みを?
 
大きく変革の時期を迎えていると感じています。仙台フィルは震災直後から300回を超える復興コンサートを行なってきました。僕自身オーケストラとともに被災地の皆さんに音楽を届けてきましたが、人間ってこんなに故郷を愛し、人間同士愛し合えるものなんだと、全身で強く感じました。
 
それで仙台フィルがどうやって音楽を通して復興活動ができるか、今、団員も事務局も必死に考え、模索しています。 新年度からは僕も発起人となって、「復興パートナーシート」もしくは「西本シート」を設置する予定になっています。
 
これは僕が復興支援活動で募った支援金で、被災者の方々(特に子供たち)や音楽家を志す若者を、定期演奏会にご招待し、その方々に全国からお預かりした温かいメッセージや想いを伝え、全国と東北を絆で結ぶいうプロジェクトです。
 
昨秋、御殿場のふもとのこどもオーケストラ主催のチャリティーコンサートでは仙台フィルのメンバーとコンサートを行ない、プロジェクトへの第一歩を踏み出しました。 震災後に加わるメンバーもこの春で10人近くとなり、新しい雰囲気も出始めてきました。
 
東北にはプロ・オーケストラが2つしかありませんが、地元の皆さんとニーズを共有できるオーケストラになることが、今後の仙台フィルを考える上で重要なのではないでしょうか
 
— 仙台フィル以外ではどんなことを?
 
個人のリサイタル・ツアーの計画が温まってきていますし、Rain Cats & Dogsの活動も活発になってきていて、4月には初の仙台公演も行ないます。これも僕の音楽活動の大事な柱です。
 
 
 

Message

 

大谷康子さん

ヴァイオリニスト 東京交響楽団ソロ・コンサートマスター
東京音楽大学教授 東京芸術大学附属音楽高校講師
 
中学1年生の時に山崎量子先生のご紹介で初めてレッスンしました。その時の印象は誠実なお父様、感受性の豊かなお母様のもと大事に育てられて、癖もなくて真っ白という感じでした。目がキラキラしていて、素直で熱心で。だから私は引き受けました。
 
コンサート当日のわずかな空き時間にもレッスンをするよう私自身も努力しました。食らい付いてくるような姿勢は期待通り。それからの成長ぶりは目をみはるものがありました。未だにこんなに伸びた子はいないくらいです。
 
芸大に入って人間的にも成長して、また先生方に可愛がられて、行く先々で“あの子はいい子だね”と言われて本当に嬉しく思います。もちろんコンサートマスターになりたいのだと思っていましたし、そうなってくれたらいいと思っていました。
 
「本物の音楽家」になるために、オーケストラでの経験を活かしてソロでも人の心を打つようになってほしいです。オーケストラではいい人だといわれるより、“あの人と一緒に弾きたい” “あの人のもとで弾きたい”と言われる方が良いですね。
 
これからソロでも室内楽でもオーケストラでも、ヴァイオリニストとして充実した人生を送っていけるように、初心を忘れずに、実力で皆を納得させる、皆がついてくるようなコンサートマスターになって欲しいと思います。 私の生まれた仙台ですので、とてもご縁を感じます。期待しています。
 
 

神谷未穂さん

ヴァイオリニスト 仙台フィル・コンサートマスター
 
西本さんに初めてお会いしたのは彼の留学先・イギリスで、友人の紹介ででした。音楽、演奏に対する真摯なお気持ちがお話とその目の輝きで強く感じられたので、すぐに動画で演奏を拝聴し(その音楽センスの良さに感動!)、一緒に演奏する機会をつくりました。
 
共演した後、オケで演奏したいというお話を伺ったので、ゲスト・コンマスに彼を呼んで欲しい、必ずいい風を運んできてくれるはず、と仙台フィルの事務所に頼みました。既にコンマスとして活動している人にしか、なかなかお声掛けをしないゲスト・コンマスにお呼びすることは、私も責任重大でしたが、西本さんは期待以上の活躍をみせて下さいました。
 
そのうち、日本のあちらこちらのプロオケからゲスト・コンマスにとお声がかかるようになったので「私ってば宝物を発掘する才能あるでしょ?」と得意気にさせて頂いています(笑)。
 
仙台フィルが行なっている音楽による復興活動についても積極的なので、心強い相棒を得たという感じです。彼の爽やかな笑顔と音楽は仙台に必ずや福を呼んでくれるでしょう!
 

子どもの頃からの夢「コンサートマスター」

〜仙台フィルハーモニーコンサートマスター

 

西本幸弘さんに訊くその2

 

聞き手:重松貴子

インタヴュー

プロオケで一番若いコンサートマスターとして、西本幸弘さんが仙台フィルに就任したのが2012年10月。小学1年の文集に「コンサートマスターになりたい」と書いた夢が実現してから2年が経ちました。西本さんに訊く、その第2弾です。
第1弾はこちらから

プロフィール

 

札幌市出身。6才よりヴァイオリンをはじめる。

東京藝術大学音楽学部器楽科卒業後、英国王立北音楽院で首席栄誉付ディプロマ取得。同音楽院よりバルビローリ賞をはじめ、多くの褒賞を受賞。

 

英国を拠点に活動し、海外オーケストラとの共演や、ザルツブルグをはじめ世界各地の音楽祭で演奏、著名な演奏家との共演も数多い。英国にてNISHIMOTO TRIO、イゾラーニ・カルテットそれぞれを結成し、ウィグモアホール(ロンドン)など著名なホールで招待演奏、イギリス・オーストラリア両国国営放送(BBC、ABC)などにも出演した。

 

日本帰国後、ニュークラシカルオーバーグループ《Rain Cats & Dogs》結成、ユニークな活動は好評を博している。 また、 自身が掲げる《VIOLINable》をテーマに、ヴァイオリンでの音楽可能性を追求するコンサートプロジェクトを始動し定期的にプロデュースしている。

 

各種施設での訪問ボランティア演奏などのアウトリーチ活動にも精力的に取り組んでいる。

 

2012年、仙台フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターに就任。

 

現在、仙台国際音楽コンクール企画推進委員会委員、ふもとのこどもオーケストラ音楽監督、Mt.FUJI交響楽団ミュージックアドヴァイザーも務める。

 

ヴァイオリンを上木節子、山崎量子、北本和彦、大谷康子、田中千香士、澤和樹、ヤール・クレス、各氏に師事。

ツイッター : @yukihironishimo

 

 

仙台フィルこれからのスケジュール

 

●シーズンオープニングコンサート

4月18日(金)19:00開演

日立システムズホール仙台コンサートホール

指揮:小泉和裕、チェロ:三宅進、ヴィオラ:井野邉大輔

ベートーヴェン:交響曲第2番

R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」

 

●第282回定期演奏会

5月16日(金)19:00、17日(土)15:00開演

日立システムズホール仙台コンサートホール

指揮:山田和樹、ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ、ソプラノ:高橋絵理

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番

マーラー:交響曲第4番

 

●仙台フィルが市民に贈るオーケストラ・スタンダードvol.9

5月30日(金)19:00開演

日立システムズホール仙台コンサートホール

指揮:飯守泰二郎、ピアノ:津田裕也オール

ベートーヴェンプログラム

バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲

ピアノ協奏曲第3番交響曲第6番「田園」

 

★仙台フィルサービス TEL:022-225-3934

詳しくはhttps://www.sendaiphil.jp/

 

 

その他

”エローラの「四季」”Vol.11

5月18日(日)14:00時開演

田園ホール・エローラ(松伏町中央公民館)

ゲスト:ペギー葉山

ヴィヴァルディ「和声と創意の試み」作品8より『四季』全曲

独奏ヴァイオリン:西本 幸弘

テネシーワルツ ・シャル・ウィ・ダンス? ・踊り明かそう

主催:エローラ運営委員会・松伏町教育委員会・東京ヴィヴァルディ合奏団

後援:松伏町

 

 

HBCジュニアオーケストラ2001年

ウィーン楽友協会ホ-ルでの演奏会でコンサートマスターを務めた思い出の1枚。札幌で1964年創立され、ここからプロの奏者になったOBも多い。オーケストラの楽しさを存分に味わい、経験を積んだ8年間だった。

ふもとのこどもオーケストラ藝大入学と同時に恩師上木節子先生と御殿場で一緒に立ち上げ、以来音楽監督を務めている。「クオリティーだけでなく、音楽を通して何が学べるか」と考えながら、自分が得たことを伝えている。教えることで学ぶこと、襟を正すことも多いという。先日初めて最初の生徒とお酒飲んで感慨深かった様子。これからも月に1度は御殿場に通う。

Rain Cats & Dogs藝大の同級生、ピアノの高橋翔吾さんとコントラバスの高杉健人さんとのトリオ。毎回ゲストを呼んで、ボーダーレスの音楽で楽しませる。

© 2014 by アッコルド出版