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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし

ヴァイオリニスト 尾池亜美

第77回

移動に移動を重ねて

こんにちは! 憂さ晴らしのお時間です。先週、カメラータのコンサートのあと、電車でインスブルックに寄って来ました。
 
ローザンヌ時代のヴィオリストの友達が現在インスブルックのオケで働いているため、訪ねたのです。
 
インスブルックは中心地にハプスブルク家の宮廷とオペラハウスがならび、見上げれば雪をかぶったアルプスがそびえていました。
訪ねた二日間、オーケストラは大忙し。最初の晩はオペラハウスでヘンゼルとグレーテルを。チケットは完売で、土曜ということもあり親子連れが沢山。
ピットのなかから。
 
演出は美しい正統派で、前半の最後の、ヘンゼルとグレーテルが森の中で眠っている夢の中のシーンで、ヘンゼルとグレーテルがいじめっ子と仲直りして一緒に遊んだり、怖かったお母さんが優しく子供たちを抱きしめ、家族四人で抱き合ったりしてとても美しく、そこら中のひとたちが鼻をすすって泣いていました。私もいまでも思い出し泣きできる。涙もろい歳になってきたものです。笑
 
そして、翌日はオーストリアのナショナルデーだったので、コングレスセンターのホールで全くちがったコンサートが。
曲目はブリテンの戦争レクイエム。1時間半にもおよぶこの演目をチロルシンフォニーと、とびきりの歌い手たちがみごとに演奏してくれました。
 
生で聞いたのは初めてでしたが、ものすごく好きな曲を見つけました。
 
http://m.youtube.com/watch?v=DPBh17I8zCo
 
テノールのソロで、かりそめにも爆撃された道路の裂け目で絞殺されるのか、と和訳された詩をもつ曲です。
 
ブリテンの恋人はテノール歌手だったそうで、彼が歌うことを想定して描かれたそう。
 
ソリストは他にもソプラノ、バリトンと居て、それぞれドイツやロシアと、主要な交戦国の素晴らしい音楽家を共演させようとしたブリテン。オーストリアでも彼に尊敬を示して、この演目をナショナルデーに選ぶのはとても素敵だなと思いました。
 
さて、移動に移動を重ねて、今週は日本です!
素敵な文化の日ですね!
 
では、良い一週間を!

© 2014 by アッコルド出版

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