top of page

尾池のブルーマンデー憂さ晴らし

ヴァイオリニスト 尾池亜美

第72回 テンポの研鑽

こんにちは! 憂さ晴らしのお時間です。
先週のコラムでは、楽友協会ホールできいたコンサートについて、とめどなく驚きばかりを述べてしまいました。
 
それらの驚きをまとめていうと、フェドセーエフの「テンポの選択」が素晴らしかった、ということが大きくあります。
演奏者は、自分のイメージで曲の速さを決めつけがちです。メトロノームのメモリ1つぶん、テンポが変わっただけで、音楽は大きくかわります。
 
大昔、演奏のテンポは、大体人の脈拍の速さで、としている時代がありましたが、これもどれだけ個人差があり、そして、どれだけの速さの違いが生まれ、違った演奏が生まれることか。
「テンポの選択」は、きちんとすれば個性の光る大事な箇所なのです。
 
フェドセーエフの演奏を聞いているうちに、今度11月に弾くシベリウスの協奏曲のテンポ設定も考えさせられました。
 
私は、レコードで聞いていたような世代の演奏家が大好きで、自分の演奏にもおおいに参考にします。それでも、いざ自分で演奏するとなると「2014年を生きる若者」としての演奏なので、やっぱり、新しい解釈をもって演奏したいと思う。
 
でも、先日の演奏では「2014年を生きる84歳」もが、まったく新鮮な演奏をしているのを目の当たりにして、お尻をひっぱたかれたような気持ちになりました。改めてヨーロッパに学ぶはじめの一歩、いい洗礼を受けた気持ちです。
 
さて、グラーツへ移動し、入試も終えたところです。
ここの藝術大学の院生として在籍させて頂きながら、研鑽を積んで行きます。またこの町のレポートもお送りします。
 
それでは、よい一週間を!

© 2014 by アッコルド出版

bottom of page