尾池のブルーマンデー憂さ晴らし

ヴァイオリニスト 尾池亜美

第82回

演奏家のコンポーズドとリスク

こんにちは!  憂さ晴らしのお時間です。
先週はグラーツ芸大のホールで、クラスコンサート。生徒が取り組んでいる曲を発表する貴重な機会です。
 
私も、ソロの演奏は11月9日以来で数週間ぶり。演奏している時の精神的なところで、前回までと違うものがありました。
 
その内容を友人に話していると、それは英語ではComposed, コンポーズドと言えるのではないかとのこと。Compose、作曲するという動詞しか知らなかったのですが、こちらの形容詞は、「落ち着いた、沈着な」という意味だそうです。
 
演奏した内容は、いま準備中の曲たちを立て続けに4曲。タルティーニの悪魔のトリル、パガニーニのカプリス2曲、そしてサンサーンス/イザイのワルツカプリス。30分間の燃焼系プログラムでした。
 
以前だと、まず半分くらいで息が切れていたように思います。緊張と気合いに満ちているのは良いのですが、曲を演奏するのに必要な度合いを越して、空回りしてたこともあったような、なかったような。
 
その緊張や気合いを、だんだんと、ちょうどいい塩梅に使えるようになって来た気がしています。
 
空回りしていた理由は二つかな。一つは、難しいとされている曲を弾くことに、技術的に自信がなくて、どうにかしなきゃー!どうすりゃいいんだー!?と、焦る気持ち。
 
それから、演奏は気持ちを込めれば込めるほど良いのだ、と何と無く思っていたような気がします。(笑)
 
間違いではないにしても、「難しい曲だ!」と思うことも「一生懸命弾こう」と必要以上に思うことも、あまり意味がないように思います。
 
そんなことを思うようになってやっと、演奏家がなぜ真顔で弾くのかが分かって来ました。何も考えたり感じてないからじゃなくて、微笑んでもしょうがないからなんですね。(笑)
 
演奏家は心に余裕があって、頭でも準備が整っているときに、大舞台をこなせる。問題をひとつひとつ解決して、あるべき演奏が「整いました」という状態に持っていくのですね。自分は今まで結構、体当たり玉砕系だった気がします。(笑)
 
それでも、私はリスクを冒すのが好きで、毎回違う弓使いをしたり、指遣いを本番まで決めずに臨むのですが、先生もそこは気に入ってくれています。(笑)確実性を大事にしつつ、本番では予定調和だけでない、ライヴ感を大事にしたい。
 
コンポーズドの安定した状態と、リスクを進んで冒す遊びと、両方を持った演奏家、もとい、安定して遊べる人間になりたいなぁと思います。
今週も、11日にここでクラスコンサートです。万一グラーツにいらっしゃったら、ぜひ覗きにいらしてください。
 
年末年始は日本で、12/20は大阪は箕面市でのチャリティーコンサート!こちらも本当に楽しみです。まだ席がありますので、ぜひ遊びにいらしてください。一緒に歌いましょう!
それでは、良い一週間を!

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