Q
パオロ・バンディーニ様
アッコルド出版社2月21日の記事を興味深く拝見致しました。
私はアウグスト ポッラストリのヴァイオリンを所有しておりますが、 記事中にあります「2羽の雄鶏の焼印」を見つける事ができません。証明書は付いてます。 本物のポッラストリじゃないという事でしょうか? よろしくお願い致します。K.O
A
K.O 様
ご質問とても興味深いです。
アウグスト ポッラストリの記事の中でも申し上げた通り「2羽の雄鶏の焼印」は1912年から使われ始めたもので、 弟ガエタノとの共同作業である事を示しています。
焼印がない楽器は、この年より前に製作されたものと考えられ、もし赤茶色のニスでしたら確実に1906年~1908年に製作された楽器です。
鑑定書が付いているという事ですが、エチケッタに何が書かれているかは言われてませんね。
私が記事中に掲載したエチケッタと同じものかどうか内部にあるエチケッタをよく見て下さい。
もしそのエチケッタに1800年代のトリノの製作家の名前、例えばプレセンダと書かれていれば、あなたは本当にとても珍しい楽器を所有している事になります。
アウグスト ポッラストリは初期の頃、少しではありますがとても美しい1800年代のトリノ派の楽器をコピーしていた時期があり、例えば正にG.F.プレセンダがその一つです。
もしそうだとしたら、あなたは本当に貴重で大変価値のある楽器を所有している事になるので、心からの賛辞とお祝いを申し上げます。
Q&A その2
P.バンディーニの
「イタリアン・ヴァイオリンの巨匠達」
Q&A その1
オールドモダンヴァイオリンを中心に
イタリアンヴァイオリンの専門家として
世界中の音楽家、弦楽器製作家、鑑定家と
幅広い交流を持つパオロ・バンディー二氏に、
ストラディヴァリ、アマティ、グアルネリの
3大巨匠の後に続いた
1800年、1900年代の
イタリアン・ヴァイオリンの巨匠を
紹介していただくシリーズ。
今回は読者からの質問にお答えします。
パオロ バンディーニ Paolo Bandini
イタリアンヴァイオリン研究家&コンサルタント
イタリア・ボローニャ出身。
若くしてエミーリア・ロマーニャ州高等裁判所専属骨董宝飾品鑑定士を務め、古美術・宝石商をしていた20代の頃、ボローニャ派弦楽器製作の巨匠O.ビニャーミに出会う。
古美術・宝石商を続けながら弦楽器の芸術の世界に魅かれ、巨匠O.ビニャーミの下ヴァイオリン製作を学ぶ。13年間にわたるビニャーミとの厚い親交は彼の死まで続き、その間A.ポッジ、M.カピッキオーニ、C.ポッラストリ等、歴史に残る多くの偉大な製作家とも交流を深め、オールド・モダン・ヴァイオリンの研究、専門家としての道を歩み始める。
イタリア弦楽器製作に関する研究、多くの書籍の原稿を手掛ける他、ピエモンテ州後援「イタリアンヴァイオリンの巨匠達」DVDを監修。
ミラノ・G.ヴェルディ国立音楽院より特別講師として招かれる等、イタリア各地で「イタリアンヴァイオリンの歴史と選定の仕方」講演会を行なう。
2006年、世界初の弦楽器インターネットオークション“Da Salo”の創設者の一人として注目を集める。
カッリガーリコレクションの保管者として多くの若手音楽家に弦楽器貸与を行い、イタリアを代表するヴァイオリニスト、U.ウーギ、S.アッカルド他、V.ムローヴァ、M.ブルネッロ、ヨーヨー・マ、G.ソリマ等と交流を持ち、多くの音楽家からイタリアンヴァイオリンの専門家として厚い信頼を得ている。
イタリアンヴァイオリンについてのご意見ご質問は下記のメールでお受け致します。
(日伊英3カ国語対応)