今日のグルーヴ〈479〉
相続の問題は、法律に則ったとしても、状況や場合によっては、それまでの生活を根本から崩壊されてしまうことさえあることにある。
法律に則る場合、現在の法律は一定の原則を設けているが、これは、各家庭の状況というものを全く顧みていないわけで、杓子定規にすることが、状況によっては、著しく生活を損なわせる場合もある。
その点で、法の機関は頼ることはできないし、あてにはならない。
この問題は、子孫にまでずっと後をひく場合も多々あるので、根本的な解決は、被相続人が遺言を書くことにある。
遺言という言葉自体、自分の死を予感するかのごとく忌み嫌う人もいるが、そもそも、人間は全員が生まれた瞬間から死に向かっているのである。いやだと言っても、これだけは絶対の真理である。
遺言というものに対して、高齢者は高齢者だけのものと思っている節があるが、遺言は高齢者だけのものではない。軍人も書いているし、問題に気づいた若い人も書く。
勿論、状況は、年々変化していくわけであるから、毎年、盆暮れに書き換えていけばいいわけで、年賀状を書くより、こちらの方がはるかに重要だと私は思う。
というわけで相続の問題によって、人間というものを考え直すいい機会になった。人間の実相を知ることもできるし、何より自分自身の実相、本音、あるいは良心というものを改めて見つめ直し考え直すことにもなる。