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今日のグルーヴ〈462〉

将棋の世界では、中学生であろうと、プロであれば、年配者からも、藤井さん、藤井先生と呼ばれる。


一昨年から、将棋の世界では、中学生の藤井聡太四段の話題でもちきりであるが、昨日は、佐藤天彦名人に勝利した。


対局後の記者会見では、藤井四段に対して、勿論、さん付け、先生付けで、しかも敬語も使われていた。


年齢的にも実力的にも超ベテランであっても、負ければ、中学生に対して「負けました」と頭を下げる。


これほど、実力と勝ち負けがものをいう世界は他にあるのだろうか。何十年もの実績を持とうが、勝負の世界では何の容赦もない。凄い世界である。


将棋もこのような最高レベルの世界になれば、勝者も敗者もすこぶる謙虚である。勿論、勝てば嬉しいだろうが、一歩間違えば、負けてしまうぎりぎりの世界では、勝者は、敗者に対して謙虚でリスペクトしている。


結果は、はっきり白黒つけられる世界ではあるが、その白黒は紙一重であるからだろう。


そういう意味では、将棋の対局は、単なる勝負というよりも、二人であらたな世界へのルートを築き上げていく作業のように思える。


一般社会では、これほど白黒はっきりさせる場面はそんなにはないが、似た世界に、音楽の世界での天才少年少女奏者の存在がある。ベテランでも(だから?)困難な超絶技巧を弾きこなす少年少女の前では、誰もが平伏するのである。


若い世代の方が運動能力は高い。また頭脳の回転も速い。

では、年齢を重ねることに別の価値観を見出すことができるのだろうか。


運動能力や計算能力は衰えていくかもしれないが、やはり螺旋階段を上るがごとく、同じところを回り続けてはいるが、常に上昇し、未知の世界、景色を見に行くことにこそ、価値があるように思える。


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