今日のグルーヴ〈450〉

もし、一万数千円のプラスチックのトランペットで十分ということが、認識として浸透したら、業界は大混乱になるだろうか。


おそらく、何も変わらないような気がする。


プラスチック製のトランペットも、トランペットの音がする。見た目はおもちゃのようなトランペットであるが、ピストンもスムーズであるし、マウスピースも違和感がない。


オーケストラでこの楽器を使ったら、どのような反応が起きるのだろうか。私は、おそらく、オケでも吹奏楽でも、あるいはソロでも、プラスチック製の楽器で十分なのではないか、と想像する。


しかし、おそらく木管の人達や弦楽器の人からは奇異の目で見られるような気がする。そもそも、カレッジモデルのケースで現われただけで疑いの目で見られるくらいの世界である。


勿論、伝統的な材質で作られた楽器は、いい音がするだろうし、吹き手にとっての満足感は、何にも代え難いものだ。ただ、吹き手が感じるほど、大多数の聴衆が違いを聞き分けられるとは思えない。


そもそも、一般の聴衆で、大量生産のヴァイオリンと名器とを聞き分けられる人はまずいない(誤解のないように書き添えるが、名器の音は確かにある)。価格と音とは基本関係ないが、仮に名器が必ずいい音がするとしても、聞き分けられない。それは様々な実験でもそのような結果が出ている。


我々の多くは、本質で聴くのではなく、見た目、型、ブランド、先入観、評判、人の耳で聴いているのである。


かくいう私も、プラスチック製のトランペットが気に入ったとしても、何百万、何千万の楽器で演奏している弦楽器の人達の手前、本番では使わないような気がする。


背中に背負ってバイクで疾走するかもしれないが。

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