今日のグルーヴ〈441〉
将棋で永世七冠を達成した羽生善治さんに、国民栄誉賞の授与が検討されている。
囲碁の強豪大学の囲碁部にいた友人が、将棋や囲碁のプロの棋士は、ほとんど神の領域にいるとしか思えない、と言っていた。
確かに、なるほどと思える場面を2度見たことがある。何れも羽生さんが登場しているのであるが、羽生さんが、相手棋士も解説をしている棋士も、瞬間意味が分からない驚くような手を指したのである。
ただ、そのあと一呼吸おいて、相手棋士も解説者の棋士も、ほぼ同時にその手の意味を悟るのである。私には説明されてはじめてその意味が分かるのであるが、やはりプロの棋士の頭脳のスピードはほぼ横一線であり、しかも神がかっているレベルなのだなと思わされたものだ。
その神の領域にいる多くのプロ棋士の中から、さらに大記録を継続中の羽生さんはいったいどういう世界、領域にいるのだろうか。
ところが記者会見で意外にも羽生さん曰く、何十手も先まで読めるようなイメージを持たれているが、実際は10手先くらいまでは読めるが、現実に起こる10手先の局面を想定することはほとんどできない、常に想定外で、考えている範疇の外側のことが実際には起こる。ゆえに暗中模索、五里霧中で、目の前の一手の最善手を繰り返し探す、ということなのだそうだ。
さらに、基本は平凡な手を指していることが多いが、一方で如何に人と異なる発想を持つことができるか、ということがだんだん重要になってくる、とも言われていた。
神は謙虚であった。