今日のグルーヴ〈439〉
小学校6年生の娘が、「サンタさんて本当にいるの?」と聞いてきた。もう薄々は分かっているのだろう。サンタさんを信じるのは、このあたりが限界であろう。
しかし、そもそも、何故、子供に中途半端な夢を与えて、その夢を幻滅させるようなことをするのだろう。大人のエゴが生み出したものなのではないか。
私自身は幼少の頃から、サンタさんの存在を信じてはいなかった。そういう環境の家ではなかったからであるが、それで良かったと思っている。
しかし、そう思う私も、クリスマスツリーだけは欲しかった。クリスマスツリーに飾る電飾や、星(トップスター)や、玉(りんご)、キャンディ、ベル……といった様々な飾りが、ばら売りでお店にたくさん品揃えされていて、それを買って飾ったりするのがあこがれであった。
街には、クリスマス・ソングが流れ、いやが上にも気持ちは高ぶる。私にとっては情緒がすべてに優先したのである。
ただ、子供心にも自分が理想と思うほど飾りを買ってもらうことは無理だろうな、と思っていた。玉を手に取ったものの、滑らせて割ってしまい弁償したり、極端に中途半端な買い方で、結局は何もかも空しいだけだった。寂しいツリーならば、ない方がましである。
しかし、自分の子がサンタさんにお願いしている姿を見れば、それをかなえてあげたい、という気持ちに、結局はなるのである。