今日のグルーヴ〈435〉
想像の世界と現実の世界とではグルーヴ感がまるで異なる。
金閣を初めて見たのは中学の時の修学旅行だった。其れまで写真で見ていた金閣に対して持っていたイメージとあまりに異なっていたことに衝撃を受けた。
まず、金色に満ちたものだと思っていたが、金色の印象が薄い。
金閣の前には広大な湖、琵琶湖ほどとは言わないが、あるはずだった。
ところが、写真はかなりの錯覚を起こさせるものなのか。
まるで小さな池だった。
日光の華厳の滝。
写真で見て持っていたイメージからはかけ離れていた。小さい。まるで小さい。
旅行や学校の遠足というのは、たいてい行く前と行った後に楽しみや思い出があり、喜びがあった。しかし、実際に行っている間は、何故か、さほど楽しくないことが多い。
未来や過去は、想像の世界で、そこに実体はないにも関わらず、想像の世界の方が、現実の世界より喜びがあり、むしろ想像の世界の方が遙かにグルーヴ感がある。
想像の世界は自由である。修正もやりたい放題である。理想の世界と言えるかもしれない。ゆえに想像の世界こそ、本人にとっては本当の世界であり、リアリティなのである。
しかし、理想の想像は尊いが、過去未来にとらわれすぎると、後悔と取り越し苦労にとらわれ、現在がないがしろになり、味わい楽しみ生ききる、ということができなくなる危険性がある。
差し当たるそのことのみに集中することが結局、現在を生ききることになるのではないだろうか。まさにグルーヴである。