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今日のグルーヴ〈374〉

一度、これだ、と掴み取った奏法も、油断をすると、すぐに失う。


野球でも、不動のバッティング・フォームもを掴んだと思うような選手が、その後、気がつかないうちにフォームが崩れたり、あるいは調子を崩してフォームまで崩れたりする。


体型も骨格も筋肉も体調もひとりひとり異なるから、奏法も異なる、一概には言えない、とされているが、果たしてそうなのだろうか。見た目は異なっていても、奏法の基本は共通しているはずである。


美しい音、美しいアタック、音程の確かさ、自由自在なコントロール。それらをもたらすのは、楽器にとって喜ばしい奏法である。


ホームランを打った時の打者のフォームは、誰もが共通して美しい。


年齢による衰え、というものはあるだろうが、楽器の場合、野球等のスポーツよりも、楽器寿命は総じて長い。


アメリカの人気トランペット奏者、ハリー・ジェームスは、ベニー・グッドマン楽団の花形プレイヤー、自身がリーダーの楽団でのソロ等、活躍しまくったが、彼は亡くなる直前まで、演奏している。


彼の録音の最後は、歌手の真梨邑 ケイさんのアルバムTHE MAN I LOVEでの同名の曲でのソロだと思われるが、往年のパワーは影を潜めたとはいえ、ハリー・ジェームスそのものであり、実に味のあるソロである。これは、奏法を掴みとり、それを維持してきた人ならではのものだろう。

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