今日のグルーヴ〈373〉
世界は、非常にきな臭い状況になっているが、アメリカの人気ドラマ「24」は、2001年からの放送だが、当時から今を予言しているように思えてならない。
「24」の主役であるジャック・バウアーは、テロ対策ユニットの人間で、テロに対抗するために、あらゆるスキルを身につけているが、現実にいそうな、リアリティのあるスーパーマンである。
なにしろ、体一つで、あらゆる状況を乗り越えていく。敵を追いかけるとき、車がなくても、道ばたに駐車している車の窓ガラスをたたき割って、スターターの配線をショートさせてエンジンをかける。
大抵の車、特殊免許が必要なものまで含めて運転をすることができる。ヘリコプターやセスナは朝飯前。その気になれば、旅客機も操縦できる。
尚且つ、コンピュータには強いし、ハイテク全般に精通している。当然、各種の武器を取り扱うことができる。
どのような困難な状況でも、あらゆるスキルを駆使させて切り抜けていくだけの頭の良さもある。尚且つ、格闘も強い。何より不条理が許せず正義感が強い。勇気凜々である。これで女性にもてないわけがない。
しかし、彼が強い意志を貫こうとすると、不本意ながら、望まなかろうが、周りの人間に被害が及び、どんどん友人達が命を落とすはめになる。
しかも、国のために命を惜しまず、尽くしているののに、一部の人からは理解を得られず、法廷で糾弾されるという不条理にも遭遇する。
それでも、悩みつつも、結局は彼の信念は揺るがない。相手が誰であろうと、大統領であろうと、不条理に自分を納得させることができない性分なのだろう。
ハイテクとアクションを両立させ、尚且つ心理描写を描いた総合芸術のようなドラマであるが、このようなドラマを初めて見たような気がする。
不条理に屈しない彼の存在は、不条理と闘わず屈しまくっている現実の人間の憧れではある。言わば、大人の御伽話の虚構の世界ではあるが、今日の日本や世界の危機を考えることを放棄している我々に警鐘を鳴らしてくれている。