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今日のグルーヴ〈363〉

本田美奈子さんの「つばさ」は、オーケストラとの同録(同時録音)だったとご本人が語っていた。


これは、現在の録音事情からすると考えられない。現在は、同録どころか、人間が演奏する生の楽器すらも使われなくなっている。ほとんど、打ち込みである。


打ち込みでも、生の楽器の音としか思えないくらいクオリティが良くなったからできることであるが、同時に悲しい事に、人件費の削減も目的なのである。


つばさは、名曲・名演にも関わらず、オリコンのヒットチャートでは62位が最高だった。名曲名演が必ずしもヒットしないということである。


何故、当時大ヒットしなかったのか。ふしぎでならないのだが、そこまでの聴衆レベル、ということなのではないか。


この作品の価値を理解できる、共鳴できるまでの価値観を持つ聴衆が、思ったより少なかったということなのではないか。


芸術・アーティストとヒットとは必ずしも共存しないということである。しかし、アーティストであるならば、大衆に阿ねるようなことはしてはならない。


それと、この歌は、本田美奈子さん以外、物理的にも歌えない、ということもあるかもしれない。


そもそもCDをたくさん売ることが至上命題、という考え方はもうこれからの時代にそぐわないのではないか。


勿論、歌手や作詞作曲者は、たくさんの人に聴いて欲しいという気持ちであろうし、ヒットすることこそが、アイデンティティなのだろうが、しかし、芸術、アーティストという立場に立てば、分かる人だけに分かってくれればいい、という考え方もあるのではないか。


ヒットすることに何の意味があるのか。勿論、潤うのであろうが、例えば、ベートーヴェンが生きている時の大ヒット曲、戦争シンフォニーにどれだけの価値があるのか。九つの交響曲に加えてもらえないのである。


しかし、今の時代、実は有り難い。上記のように洞察できるのも、クラウドの存在があるからである。


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