今日のグルーヴ〈357〉

アーティストというのは、伝統をリスペクトしつつも打破する人である。


あらゆる分野でアーティストはいる。


例えば、将棋はたった81マスしかない世界にもかかわらず、コンピュータを活用してさらに新手が創造され続けている。


我こそは一番強いと思う人ばかりが、プロになっていくのだろうが、その中から勝ち抜いて実績を上げるような人は、常識や定跡にとらわれない神がかったような一手を指すように思える。


誰もが想像もできなかった手を差して勝っていく。それは、勝負師というより、アーティスト、つまり芸術家なのではないか。


野球も、我こそは一番巧いと思うような人がプロになっていくのだろうが、入ってみたら、自分が一番下手だったということになりかねない。そこで、伝統や常識にとらわれずに新たな方法を見つけ出す人が、歴史に残る選手になっているように思える。


バッハもモーツァルトもベートーヴェン、そして音楽史に燦然と輝くような作曲家は、結局は、誰もやってこなかったことをやったような人なのではないか。


作曲も演奏も他の人の追随ではやる意味がない、と言ってみたい。


ただ、伝統がなければ、打破する対象がないわけで、その意味で、伝統や常識というのは、大切である。


よくドイツ機能和声が、クラシック音楽の可能性を狭めたのではないか、と思うのだが、しかし、本当に表現をしたい人は、何があっても手段を探し出していくのだろう。

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