今日のグルーヴ〈329〉
気がついたらポイント・カードなるものが、財布から溢れそうになっていた。
かつてこの手のものは、ブルーチップを集めて、紙に添付することを母親達はやっていた。また目的は異なるが、小学校ではベルマーク運動を奨励していたので、競って、ベルマークを集めたものだ。
親父がパチンコでたくさんチョコレートを獲得すると、大喜びで包装からベルマークを切り取って集めた。友達が大量のチョコレートのベルマークを持ってきたら、君のお父さんは、パチンコの達人だなぁ、と感心したものだ。
しかし、紙チップを集めて整理する、この手間暇は計り知れない。
世の中の流れで、様々なポイントはカード化されていったのだろうが、これも作るのが面倒だった。書類を書き始めて、面倒になって止めたことが何回かある。
しかし、これだけ世の中ポイント・カードお持ちでしょうか?と言われ続けると、逆に面倒になってポイント・カードを作るようになった。
ポイントが貯まると(といってもせいぜい数百円程度)、それで買い物もできるし、数円といった端数もポイントから支払うことができるので、意外と役にたっている。
すると、あっという間にポイント・カードだらけになってしまった。
特にコンビニのトイレ機能は私にとっては必須のものなので、コンビニのポイント・カードは必需品となる。
しかし、自分が今、どのコンビニに入ったか、というのはあまり意識していない。
コンビニだけでなく、気がついたら、どの店に入っても、その店の名前を覚えていない。というか、そもそも覚えようとしていない自分に気づいた。
それはともかく、レジでポイント・カードを求められると、どのポイント・カードを出すべきなのかを判断しなければならない。
しかしポイント・カードもいまだ発展途上の部分もあり、カード自体が仕様等、変更になることもあるので、もうわけがわからない。
ゆえに、ポイント・カードを判断するのが面倒になって、ポイント・カードはお持ちですか?と聞かれたら、ここは何のカードですか?と聞くことにした。
そして時間をかけて他のカードに混じったポイント・カードを探すことになる。スーパーのレジの場合、レジ係の人は待ちきれなくて、次の人のレジ打ちを始めたりする。急き立てられているようで、実に落ち着かない。
そもそも、なんでもかんでもカード化する事自体、かえって不便なのではないか。
健康保険証もカード、免許証もカード、スイカもカード、パスモもカード、住民票を発行してもらうときもカード。
マイナンバーカードが普及しないのは、すでにありとあらゆるカードが溢れかえっていて辟易しているにも関わらず、このような管理するのにおそらく一番神経を遣うカードを管理する事にさらに辟易するからなのではないか。