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今日のグルーヴ〈319〉

子供の頃、最初に読んだ伝記は、江戸時代末期に活躍した二宮尊徳(金治郎)のものであった。彼は、今で言えば、経営コンサルティングの大家なのだろう。


昔は小学校に、子供の頃の彼が薪を背負って歩きながら本を読む像が建っていたものである。


彼が幼少の頃、農業を営んでいた父母は洪水で困窮し、彼自身も様々な辛酸を舐めたが、アブラナを植えて菜種油をとって灯油にしたり、道ばたに捨てられた苗を育てて米一俵の収穫を得たり、没落した家を再興したりして、だんだんと評判が上がり、遂には幕府に召し抱えられ、経世、農政に携わるのである。


幼少の彼に最も大きな影響を与えたのは、自然の驚異の前には無力な人間、その宿命というものだったのではないか。しかし、その自然に対して、少しずつでもいろいろな対策をとっていき、江戸時代の人々に少しでも幸せをもたらそうとしていた。


この当時と、自然の驚異は何も変わっていない。人間がいくらいろいろな対策を取ろうと、自然は思いがけなく襲ってくる。


自然を前にして、人間は、無力さを思い知らされるだけである。しかし自然なくして人間は生きることはできない。自然は容赦なく人間を襲うが、人間に恵みをもたらすのも自然である。彼には様々なアンテナがあったのだろう。


二宮尊徳は、自然の驚異の前に、共存しようとしていた。夏前に、ナスを食べたところ、秋ナスの味がしたことから、冷夏と飢饉(天保の大飢饉)を予知して、村人に冷害に強いヒエを植えさせたおかげで、そこの村人は餓死者が出なかったという。

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