今日のグルーヴ〈312〉

AIは、作曲もしてくれるという。脳波を測定して、その人に合った音楽を即座に作って演奏してくれるのだという。


こうなると、作曲家の仕事も奪われるのではないか、と思うのだが、開発者は、むしろ、作曲家のアイディアが増えてたくさん作品ができる、と言う。


確かに、アイディアに行き詰まる、ということは無くなるかもしれない。


まずは、人口の数ほどの作品ができ、次に、おそらく、一人の人間にも、いろいろな気分の状態があるだろうから、人口の数倍から数十倍の作品ができるのではないか。そうなると、人間が生まれ続ける限り、ほぼ、枯渇することはないのではないか。


作曲家は、五線紙の世界から離れ、様々な人間の脳波を測定するところから作曲の作業が始まるだろう。


しかし、何も作曲家に測定を任せることもない。自らAIを駆使し脳波を測定して、自分が聴きたい曲は、自分で作曲する、ということもできるだろう。


五線紙を使わなくても、打ち込み作業でデータを作っていけば、常にヴァージョンアップしてゆけるから、誰にでもそれなりに作曲ができる時代が来るだろう。


そうすると、作曲家は無くなるか。それはないだろう。淘汰されるとは思うが。そもそもあらゆるプロの世界には、多くのアマチュアが土台を築いているというヒエラルキーがある。


その伝でいくと、アマチュアの作曲家というのをあまり聞いたことがない。


楽典、和声学等を勉強し、五線紙を使わなければ、作曲できなかった時代はとうの昔に終わっている。


アマチュアの作曲家が増えたときにこそ、プロの作曲家は新たなステージに立ち、存在価値がさらに高まるような気がする。


ところで、自分なりの主義主張や、考え方、アイディア、そして感情といったところまで、ほぼAIが代わりにやってくれたら、人間の脳は、進化することをやめ、おそらく後退し始めるだろう。


そもそも、今現在ですら、人々は、政治に対する考えも、ニュースキャスターまかせであり、自分に合うキャスターを捜し当てたら、その人任せである。


体の健康に関しても、検査もAIがやってくれるだろうし、処方も膨大なデータから編み出されるだろう。


そうすると、医者もいらないかもしれない。外科医もAI外科医なるものが誕生し、完璧に処置してくれるだろう。


膨大なデータからあらゆる病気に対する処方も、その人に合ったものがAIから生み出されるだろう。


癌になりにくい食生活や、生活習慣を指導され、たとえ、癌になったとしても、膨大なデータを元に処方されるだろう。


また、自分のあらゆる個人情報を登録しておけば、AIが相性のいい配偶者も探してくれるだろう。AIのアドヴァイスが完璧でないにしても、人間に相談するより、確率は高いのではないか。


夫婦喧嘩の相談にものってくれるだろう。


学校の勉強も、九九や漢字を覚えることも必要が無くなるのではないか。今まで必要とされてきた勉強の大部分は必要ではなくなるかもしれない。


我々が勉強してきたことの大部分の時間は、暗記とか計算といったことに費やされてきたが、そこはなくなるかもしれない。


そもそも、暗記や計算は、単なるツールであって、本来の勉強とは言えないのではないか。


そうすると、我々は何を勉強するべきなのであろうか。


ともかく、何をするにも、すべてAIに相談してから動く事になるのである。AI依存症になるであろう。


今現在、私自身、すでに、何か分からないことがあったら、ほぼすべて、スマホかパソコンで調べている。スマホとパソコンがない生活など考えられない、という状況である。勉強が、毎日の生活に溶け込んだ状態である。この段階で、勉強しているという意識はなくなっている。勉強という概念は無くなるのではないか。


勉強という言葉には強迫観念がある。勉強という言葉に縛られることから逃れたいから勉強嫌いが増えるのである。しかし、興味を持ってやることに勉強という意識はない。


つまり、世の中から義務でする勉強が無くなってはじめて、人間は本当の意味での勉強を始めるのである。


AIによって、将来、人間を煩わせるあらゆるものが無くなるのである。


そうなると、人間は、煩わせるものを自ら求めるのではないだろうか。


いずれにしても、人間は、自分の存在価値に正面から向き合う必要が出てくるだろう。


さて、ゆくゆくは人間がやるべきことは何になるのだろうか。それもAIに聞いてみるか。




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