今日のグルーヴ〈310〉
藤井聡太四段の棋譜は、他のプロの棋士でも、わくわくするくらいの“作品”であるという。
定跡や過去の棋譜の研究を元に、あとは、その場で考えて差していく将棋は、テーマを元に、アドリブで展開していく演奏と、共通のものがあるように思える。
ただ、そこに勝負が絡んでくるところが、音楽と異なるところなのかな、と思ったのだが、棋譜が“作品”と言われれば、まったく同じであると思い直した。
そして、天才的な人が現われると、音楽も将棋も新たなステージに登るのも共通していると思った。
私自身、将棋は、子供の頃から時々やってきたものの、基礎となる定跡等を勉強してこなかったので、一向に強くならないが、対局を見たり、棋譜を見たりすることは好きであるし、将棋の強さも分かるような気がする。
そのような私でも、棋譜を見ると、凄いなぁ、と感嘆する。劣勢をいつの間にか、逆転しているところも、唖然とする。実は劣勢ではなかったのか、とさえ思う。
彼の将棋のどの部分が強くて凄いのか、分からないが、勝つ。プロの棋士も、そういうところが凄いと言っている。分析しても分からないのかもしれない。
天才的な演奏家に対して、分析しようとは思わない。とにかく演奏を満喫するだけである。藤井さんの将棋も、見ているだけで満喫できる数少ない将棋なのではないか。