今日のグルーヴ〈274〉
天皇陛下が、有識者会議の議論の方向と、政府方針に不満を示された。昨年8月8日の「お気持ち表明」を改めて日本国民は拝観し、正確に理解すべきなのではないか。
「お気持ち表明」の映像は、Youtubeで現在も拝観することができる。驚くべきことに私が見た映像では、まだ100万回までの再生に至っていない。多くの国民は、直に陛下のお言葉をしっかりとは聞いていないのではないか。それでもって専門家に議論をゆだねるのは、日本国民としてどうなのか。
陛下は、ご公務を減らして欲しいと仰せられているのではなく、全身全霊で作り上げてこられたご公務が高齢や病気等の要因で十分につとめることができなくなった場合、譲位という方法(制度)を示唆されているのではないだろうか。
有識者会議の方向性は、陛下のお気持ちとは真逆であることになる。
そもそも自戒も込めて、我々は、陛下のご公務の意義を正確に把握しているのだろうか。皇室アルバム等の皇室関係の番組は見ているが、事実関係しか把握していないことに私は気づいた。
震災等の災害が起きれば、天皇はすぐに慰問に行かれ、国民を勇気づけておられるのは、言うまでもないが、陛下は跪いて、同じ目線にして、話を聞かれて勇気をくださるのである。正に天皇は常に国民と共にある、ということを行動でお示しになっておられるのである。
陛下は、日本国憲法の象徴天皇のあり方ということを、全身全霊でもって作り上げてこられたのである。天皇は祈っているだけでよい、という発言は、確かに陛下のこれまでの生き方を全否定するものになるだろう。
有識者会議の正式名称は“天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議”である。出発点からして誤解で始まっているのではないだろうか。
陛下のお体のことを慮るあまり、陛下の作り上げてこられたご公務の方に意識が向かなかったのだとしても、いまこそ天皇陛下のお気持ちを正確に理解することが必要なのではないか。
「お気持ち表明」での陛下のお言葉は大変に平明で、誰にでも理解できるように懇切丁寧に練られている。天皇陛下は、国民の理解が得られることを切に願っています、という言葉で締めくくられている。
繰り返し言いたい。昨年8月8日の歴史的な大変重いお言葉「お気持ち表明」をまずは日本国民は等しく正確に理解すべきなのではないか。