今日のグルーヴ〈264〉

昔、哲学者の土屋賢二先生から「よっぽど悲惨な状況でなければ、それは奇跡的に恵まれた状況なのだよ」と言われたことがある。


よっぽど悲惨な状況というのはどのような状況なのかは、人ぞれぞれで違うもののような気がするのでイメージしにくいが、世の中の様々な事件やニュースを見ると、確かに、今日まで不慮の事故で命を落とすようなこともなく、よく無事に生きてこられたものだと思う。


中村天風さんも、何を取られても、命まで取られなければ、それは有り難いことだ、といった主旨のことを述べられている。


そう言われて、そう思ってもあまり嬉しくはないが、命があるだけもうけもの、という時代なのかもしれない。


切り捨て御免が許された江戸時代の平均寿命は、40代くらいで、50代になったのは、驚いたことに戦後らしい。


平均寿命というのは、その年に生まれた赤ちゃんの平均余命という定義らしい。例えば、昭和30年生まれが0歳の時の平均余命というのは、驚いたことに63.60歳である。ところが、60歳の人の平均余命は、18.54歳なのである。頑張って60歳まで生きれば余命が延びるということなのか。


それはともかく、昔の日本人は、常に寿命というものを意識していたのではないだろうか。そして一日が今の一日より充実していたのではないだろうか。


だとしたら、現代の日本人は江戸時代人々のような生活を送っていれば、人生二度送ることができるのではないだろうか。


生物学的には、50歳くらいで、男の人生は終わっているらしい。ただ人間には動物にない理性や心があるので、50歳以降は、別の人生があるということだ。


高校時代の同窓会で、80代の先生方は、60代から80代までが人生で最も重要な時期である旨仰っていた。







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