今日のグルーヴ〈249〉
アンドレのアンダンテを聴いたら戦争をする気にはなれない。
音楽演奏史上、燦然と輝く世紀のトランペット奏者モーリス・アンドレに会ったとき、彼は芸術に保守的なものがあってはならない、と言われた。
奏法についても質問した。
「奏法に関して、どのアンブシュアが良い、というものはなくて、演奏者それぞれが、自分の楽器からどうやって幸せを見つけられるか、つまり楽器を持って幸せを感じられるか、それが一番大事」と言われていた。
アンドレのアンダンテ(何の曲にしても)を聴いたら戦争をする気にはなれない、という批評もあったそうだ。
非常に抽象的に聞こえるが、正に仰せのとおり、これ以上付け足す言葉が必要なく、言われた言葉一つ一つに共感しかない。
ただ、彼は元々持って生まれた口の形はラッキーだったと神様に感謝しているとは言っていた。
ところで、彼がパリのコンセルヴァトワールの学生だったころ、彼の先生から、ある楽器メーカーの楽器を吹け、と強制されたらしいが、彼がコンセルヴァトワールの先生になってからは、生徒には生徒自身が好きな楽器を自由に吹かせていたそうだ。
基本的には、どのメーカーの楽器も、吹いていて心地良いレスポンス、充実した音が出れば、それだけで幸福を感じるものである。
さて、今新たな金管メソードを開発中である。効果の手応えがあるので、言いたくて仕方ないが、確証を得るまではしばらく待ちたい。
今日もグルーヴィーな一日を!