今日のグルーヴ〈228〉
今から、20年前に編集後記に、普段仕事で必携な鞄の中身を書いたことがある。そこには、筆記用具として、ボールペン、シャーペン、赤ペン、マーカー、消しゴム、メモ帳が書いてあり、その他にカッター・ナイフ、手帳、区分地図、ノート・パソコン、カメラ、テープレコーダー、フィルム、カセット、フロッピー、CD-ROM、パソコン雑誌、文庫本‥とあった。
今、大半が鞄からなくなった。残っているのは、ボールペンとノートパソコンだけである。そして、新たに、なんらかの記憶媒体が鞄に入っている。ボールペンはさすがに生き残った。
鞄から大半がなくなった理由は、iPhoneの誕生である。10年前にiPhoneが誕生し、その後、どんどんヴァージンアップを重ねて、大抵のことはiPhoneで事足りるようになってしまった。
特に、かつてメモ帳は必携中の必携だった。後から見れば、ゴミのような文章ばかりだが、そこにはいろいろなアイディアや思いつきをたくさん書いた。メモにこだわるあまり、メモ帳を手作りしたくらいだ。
しかし、iPhoneのメモ帳に書いたり、音声入力すれば、直ちにパソコン等に同期されるので、パソコンを開けば、そのメモが出てきて、それを推敲すれば文章ができる。
ところが、iPhoneの誕生から10年後、便利になり過ぎると、まだ浸透していないところ、便利でないところが余計に目立つ。
例えば、お薬手帳である。薬局へ行くたびに、お薬手帳をお出しください、と言われるのに辟易しているのである。
私はお薬手帳をたいてい忘れるので、その都度作らされた結果、何冊もあって訳が分からない。それでも薬局では忘れるたびに、作りましょうか?と提案してくる。あとで理由は分かったが…。
お薬手帳には、どこの調剤薬局へ行ったのかが一目瞭然なので、たまに都合上、薬局を変えたりすると、いつもの調剤薬局に戻ったとき、お薬手帳を見て、なんで他の薬局へ行ったのか、という嫌な顔をされたこともある。
お薬手帳に関する法改正は、二年ごとに行なわれているらしいが、ほとんど迷走しているとしか思えない。そもそもネットでそれに関する説明がいくつかあるが、読む気力を失うくらい分かりにくく理解できない。
アプリにしてクラウド化した方が、インクや紙の節約にもなるし、セキュリティの問題はあるかもしれないが、そもそも情報としては正確なのではないか。スマホだったら、持ち歩くのを忘れることはまずないだろう。
今日もグルーヴィーな一日を!