今日のグルーヴ〈218〉

金管楽器のメソードは、音階練習にしても、アルペジオにしても、何にしてもほぼ、その楽器の最低音から書き始めている。それに対して、我々や先達は、比較的音の出しやすい音域から始めようとしてきた。


例えば、B管のトランペットの一番低い音は実音Fisであるから、メソードに書いてある音階練習もFis durとかから書いてあるが、その順番で練習しようとせず、その上の音域のB durくらいから始めることがほとんどである。


また、音階練習以前の音出しに関しても、音の出しやすいと思われる音域から始めて、だんだん高い方の音域に行ったり、低い方の音域に行ったりして、音出しを始めるのが殆どである。


しかし、この方法は、一見無理なく合理的な方法に思えるが、楽器が本来持っている音色や鳴りを損ないかねない。何故なら、金管楽器は倍音の楽器であるからだ。その原理を無視して、中途半端な音だしをするのでは管全体が共鳴しない。


そればかりか、ダブルアンブシュアを作らせ、その結果、音を外しやすいという、致命的な奏法を作りかねない。


最低音から音を作っていかないで、どうやって中音域や高音域で充実した音が出せるのか。

つまり最低音のしっかりした充実した音という基礎があってはじめて、中音域、高音域が本来持つ充実した美しい音色が出せるのである、という考え方である。


つまり、メソードに書いてある通りの順番で練習するべきであると私は考える。

そのやり方では高い音が出ないと言う人は、おそらくアンブシュアが良くないのである。


私は、楽器というのはすべからく、楽に演奏しなければならない、と考える。そもそも、音を作る段階から、苦労するとしたら、それは奏法が良くないということである。楽に音が出せる方法でないと、その楽器楽器本来持つ音も出せない。楽に音が出せる方法でないと、その楽器楽器本来持つ音も出せない。


良くない奏法で、やり続けるとしたら、あとは、何度も何度も練習して、何とか無理やりにでも、形にするほかない。つまりは、音楽とは無縁の、どちらかというと根性の世界、スポーツの世界になるのである。何年も何年もかけて、挙げ句の果てに潰れてしまうこともありうる。


いくらでもイメージや表現したいものがあるのに、奏法のために殆どそれが実現できない、しかも何年も何十年もその原因に気がつかないとしたら(私である)、それは悲劇を通り越して、愚かである。


この「今日のグルーヴ」のコーナーは、奏法本ではないが、次回は、上記で述べた奏法の具体的なやり方を書く予定。


今日もグルーヴィーな一日を!





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