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今日のグルーヴ〈217〉

トランペット等の金管楽器の場合、大抵の人がダブル・アンブシュア(口の形が低音域と高音域とでは異なること)になるのであるが、どの音からアンブシュアが変わるのかは、人それぞれである。


その事と、歌における地声からファルセットへ移行するのと事情が似ているような気がしてならない。実際、音楽史上に残る世紀のトランペット奏者、モーリス・アンドレは、ハイ・トーンは、裏声のように出す、と言っていた。


オペラに関してもポップスに関しても、その発声の種類と理論を語ることは私にはできない。ただ、話を簡単にするために大雑把で恐縮だが、歌の場合、大きく分けて、地声とファルセットの二つがあることを前提として話を進めたい。


オペラのソプラノは、ほぼすべての音域を同じ発声、唱法で歌っていることになる。


テノールの場合も、ほぼすべての音域を同じ発声、唱法で歌っていることになる。


理想としては、地声ですべての音域を歌いきる、ファルセットですべての音域を歌いきる、そのように私は勝手に思っているが、オペラとポップとの場合では、話が変わってくるし、音色の使い分けを意図して、地声とファルセットを使い分けている人もいるので、良いとか良くないといった話をしたいわけではない。


ただ、ソプラノやテノールと同じように、楽器の理想の一つは、低音から高音まですべて同じ奏法、アンブシュアで発音し、演奏することだ、と私は思っている。


何故かというと、ダブルアンブシュアは音を外す危険性があるし、音色が変わるからだ。また私自身、何か後ろめたい気がする。ゆえに、一つのアンブシュアで吹ききる方法を見つけたのである。(つづく)







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