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今日のグルーヴ〈167〉

DTPが普及し始めた頃「パソコン通信」なるものがあった。インターネットの登場ともに、あっという間に消えてしまったが、このパソコン通信では、様々な試みがなされ、その後のネット社会に大きな影響を与えている。


いろいろなものが生まれては消えていったが、正に疾風怒濤の時代であった。


DTPの前に、パソコン通信で、文字データを印刷所に送った時期もあった。そのときは手前味噌であるが感動した。今ではデータの送受信は普通の話であるが、原稿用紙に書いた原稿を印刷所に持って行ったアナクロの世界から脱却したことは、私にとっては当時画期的だった。


しかし、当時は今のように大容量のデータを送ることはできなかったので、写真1枚送るのも大変だった。


話が逸れるが、パソコン通信にはフォーラムというものがあった。様々なジャンルのサークルみたいなもので、とても日本人的で真摯な意見が交わされる健康的な世界だと私には思えた。


このままパソコン通信が発展し、日本主体のネット世界が生まれていれば、また今日の状況も変わったと思うが、日本の光ファイバーによるネット世界が構築される前に、インターネットが普及してしまった。


まだまだ環境としては当時不十分だったので、編集者サイドで印刷データが完成したとしても、そのデータを印刷所に送ることは、大容量過ぎてできなかったので、データを記憶媒体に入れて、自分で持って行く、という一時的なアナクロの世界に戻ったのである。


印刷の為には、版を起こすフィルムをつくらなければならなかったが、当時、印刷所にはフィルムにするためのセッターが普及していなかったので、出力センターへもっていかざるを得なかったのである。


出力センターは24時間体制だったので夜にデータ持って行くと、朝にはフィルムができていた。


このようなことをしながらも、DTPを進めたのであるが、あるとき、ふと気がついたのである。


そもそも、デジタル化したデータを印刷するということは、データをアナログに戻すという行為に他ならないわけで、その行為にアナクロさを感じ、やっていることの矛盾を感じたのである。

(つづく)


今日もグルーヴィーな一日を。

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