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協会発足の経緯

 

 堤「日本チェロ協会を設立したきっかけは、

インディアナ大学で師事した

故・ヤーノシュ・シュタルケル先生の影響でした。

シュタルケル先生はチェロ奏者の交流に非常に熱心で、

大学があるブルーミントンという小さな町の

チェロ・クラブの会長をされていました。

私はそこで

副会長のような役割をさせていただいていたのです。

 

なぜ、先生がそういった活動に熱心だったかと

いいますと、まずはチェロという楽器の素晴らしさを

広めたい、という思いがあったこと。

もう一つは、チェロ奏者同士の交流を深めて、

仲間を増やしたり、レパートリーを増やしたり、

情報交換をしたり…

つまりネットワーク作りに力を入れていらしたのです。

 

カザルスやロストロポーヴィチのような巨匠たちも

チェロ奏者との交流を大事にされていましたし、

こういった活動は、チェロの普及に繋がります。

更には、音楽を通して社会のために

何かできるのではないか、という思いから

1997年に日本チェロ協会を設立しました。

 

アメリカには各地に100以上のチェロ協会があり、

毎年どこかで、全米のチェロ協会が一つとなった

チェロ・コングレスが行われるなど、

活動が非常に活発ですから、

日本でもそのようなことができたら、

という思いがありました。」

 

『チェロの日』が誕生した理由

 

 堤「私たちはどうしてもコングレスのような

大きな催しを行うことを考えてしまうのですが、

皆さんにチェロを楽しんでいただく機会を増やすには、

どのようなことを行ったらよいのか、

石島さんと渡辺さんが中心となり、知恵を絞り、

『チェロの日』が生まれました。」 

 

石島「チェロは皆で集まって音を出すだけでも

楽しいですからね。

 

今回4回目ですが、年に一度ここに集うことで、

参加者同士の輪が広がっており、

私たちも大変嬉しく思っています。

 

『チェロの集いは』現在、会員だけで

定員オーバーになってしまう状況ですので、

できれば今後は、非会員の方も

お誘いできるような形にしたい、という

気持ちがあります。」

 

プロとアマとの交流の場

 

堤「たしかに私は、チェロを弾くことを

仕事にしていますから、

『プロ』というのかもしれませんが、

実は私の中でプロ・アマの境目というのは

ないのですね。

 

たとえ、チェロを教える立場であったとしても

『先生面してはいけない』と、

シュタルケル先生はよくおっしゃっていました。

私たちは音楽の道で、皆さんよりも長く

チェロを弾いてきましたから、

その分だけ演奏経験や知識が蓄積されています。

それを次の世代に受け渡すのが先生の仕事だ、

と教えられました。

 

また、レッスンをするときにも、

『ティーチ』するのではなく『ヘルプ』する、

という心構えでなければならない、と。

 

ですから、私はチェロ協会の会長ですが、

会員の1人として私に出来ることをさせていただく、

という気持ちでいます。

評議委員全員が、同じような気持ちだと思います。」

 

チェロに関わる全ての人と 

 

渡辺「初心者から上級者まで、皆さんにとって

得るもののあるイベントになると良いな、

と思っています。

 

もっと理想を言えば、チェロを弾かなくても、

例えば楽譜を作っている方でもいいですし、

聴くのが好きな方でもいいですし、

様々な形でチェロと関わりのある方々が集う

イベントにし成長させていけたら良いですね。」

 

飯田「私はチェロを演奏しないのですが、

『チェロの日』で皆さんの演奏を聴いていると、

客席にいても心が一つになるのを感じるのですね。

 

ですから、今、チェロを弾いてごらん、と言われたら、

弾けそうな気がするのです(笑)。

 

つまり、演奏している人だけではなく、

会場にいらっしゃる全ての方々が一体となって

チェロを楽しむのが『チェロの日』なのです。」

 

 

 

写真提供:日本チェロ協会

取材:向後由美

インタヴュー

 第4回チェロの日 2月8日(土)~9日(日)

「チェロ」で、心がひとつになる2日間

2月8日(土)~9日(日)、

日本チェロ協会主催、第4回チェロの日が

サントリーホール ブルーローズにて開催される。
1日目は、
4名のチェリストによる

「チェロ・ソロ・コンサート」が行なわれ、
ベートーヴェン、ショパン、R・シュトラウス、
フォーレのソナタが演奏される。

2日目は、チェロ愛好家70名による

チェロ・オーケストラ。
リレーコラムでもお馴染みの
Paulownia Cello Quartetによる
「チェロ・アンサンブル・コンサート」が。

 

開催を前に、チェロ協会会長の堤剛さん、

評議委員の飯田芳憲さん、石島栄一さん、

事務局企画担当の渡辺 亮さんに

チェロ協会設立からのお話をうかがった。

チェロ・ソロ・コンサート
日時:2月8日(土) 14:00 開演
曲目:フォーレ/チェロ・ソナタ第1番 ニ短調 op.109、エレジー ト短調 op.24
ラヴェル/スペイン狂詩曲から「ハバネラ」
R.シュトラウス/チェロとピアノのためのソナタ ヘ長調 op.6
ショパン/チェロ・ソナタ ト短調 op.65
ベートーヴェン/チェロ・ソナタ第3番 イ長調 op.69
出演:倉田澄子、河野文昭、門脇大樹、伊東裕
料金:自由4,000 学生2,500 当日4,500

   チェロ協会会員3,500
会場:サントリーホール ブルーローズ
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20140208_S_2.html

 


チェロ・アンサンブル・コンサート(完売)
日時:2月9日(日) 14:00 開演
指揮山本祐ノ介
出演チェロ:パウロニア・チェロ・カルテット

会場:サントリーホール ブルーローズ

 

 

問合せ:日本チェロ協会 03-3505-1991
http://celloday.cello-congress.com/

写真左より:渡辺 亮さん、石島栄一さん、飯田芳憲さん、堤剛さん

© 2014 by アッコルド出版

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