演奏家であってもそうでなくても、"自分らしさ"について考えたことのある方は多いのではないかと思います。
私は、一人の人間として、そして演奏家として、表現者として、日々"自分らしさ"というものを考えています。
何も"自分らしさ"というのは人に「自分はこうなんだ」と誇示するものでもなければ、見せつけるものでもないと思います。
自分らしくいることは、自分でいろんな自分を肯定している状態と言うことが出来るかもしれません。
自分が力まず、おごらず、無理をせず、へりくだらず、素直にいられる状態なのではないかと思うのです。
人の前に立って大勢をまとめるのが"らしさ"の人もいるだろうし、人を支える、縁の下の力持ちという"らしさ"を持っている人もいると思います。どんな"らしさ"も本当に尊いものだなと最近つくづく感じます。
前回「自信」について書きましたが、人生での勝負の時(演奏家だったら舞台の上など)に、自分自身としっかりと繋がっていられるということ以上にパワフルな状態はないと思うのです。
演奏は、言葉で話す以上に良くも悪くもその人がそのまま見えてしまいます。
人に相性があるように、音楽にも相性があると思います。解釈や演奏以前に、演奏家と観客の皆さま一人一人との相性もあると思います。
自分らしくいることが時に難しいこともあるかもしれません。でも、自分を幸せに出来るのは唯一自分だけであることにしっかりと気付くことで、自分のゴールや目標を見失わずに、自分を生かす努力をしていけるのではないかなと思います。
私は30歳を過ぎて、こういうことに気付き始めました。これが正しいのか正しくないのか、早いのか遅いのか分かりませんが、どちらでもよいのです。今の自分が、これまでで一番好きです。そう思える日々をしっかりと積み重ねていきたいと思います。
"Follow The Light"
ヴィオラ奏者 安達真理
第11回
「"自分らしい演奏"とは」
Mari Adachi, Vla
東京生まれ。4歳よりヴァイオリンを始める.
桐朋学園大学在学中にヴィオラに転向。卒業後、同大学研究生修了。
2009年よりオーストリア、ウィーンに渡る。
ウィーン国立音楽大学室内楽科を経て、2013年スイス、ローザンヌ高等音楽院修士課程を最高点で修了。
2015年、同音楽院ソリスト修士課程を修了。
2013年よりオーストリアの古都インスブルックのインスブルック交響楽団にて2年間副首席ヴィオラ奏者を務める。2015年夏、6年間の海外生活にピリオドを打ち、日本人として改めて日本の役に立ちたいと決意を新たにし、完全帰国。
2005年霧島国際音楽祭にて特別奨励賞、優秀演奏賞受賞。
第6回大阪国際音楽コンクールアンサンブル部門第1位およびラヴェル賞受賞。
2006、2007年ヴィオラスペースに出演。『サイトウ・キネン若い人のための室内楽勉強会』に参加。
2007~2009年N響オーケストラアカデミー生として著名な指揮者、演奏家と共演、研修を積む。
2009年小澤征爾音楽塾オペラ・オーケストラ両プロジェクトにてヴィオラ首席奏者を務め、日本と中国にて公演。
2010、2011、2013年とオーストリアのセンメリンクでの国際アカデミーに参加する度、全弦楽器を対象とするコンクールにてソリスト賞を受賞。
2011年バーデンバーデンのカール・フレッシュアカデミーにて、バーデンバーデン管弦楽交響楽団とバルトークのヴィオラ協奏曲を共演、特別賞を受賞。
2011年よりカメラータ・デ・ローザンヌのメンバーとして、ピエール・アモイヤル氏と共に、スイス、フランス、トルコ、ロシアの各地で多数の公演を行なう。またこれまでにアライアンス・カルテット、ルーキス・カルテットのメンバーとしてオーストリア、ハンガリーを中心に公演を行なう。
2014年、バンベルク交響楽団にて首席ヴィオラ奏者として客演。
2015年、ローザンヌ室内管弦楽団とマルティヌーのラプソディー協奏曲を共演。
同年夏、モントルージャズフェスティバルに出演。クラシック音楽のみならず、幅広いジャンルで活躍。
世界的なヴェルビエ国際音楽祭にて、アマチュアの人たちの室内楽のレッスンにあたるなど、指導者としても活動を始めている。
ヴァイオリンを篠崎功子氏、ヴィオラを店村眞積氏、ジークフリード・フューリンガー氏、今井信子氏、ギラッド・カルニ氏、室内楽を、東京カルテット、ヨハネス・マイスル氏に師事。その他国内外にて多数のマスタークラスを受講。
https://twitter.com/AdachiViola
https://www.facebook.com/mari.adachi.viola
聡明な解釈と美しい音による豊かな表現。彼女はアーティスティックな才能を持っている。』
——ギラッド・カルニ(ローザンヌ高等音楽院教授、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団首席ヴィオラ奏者)
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