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「演奏家」とひとくくりに言っても、我々も人間。人の数だけ個性があるし、自分にとって合うか合わないか、好きか嫌いかはあっても、音楽には正しいとか正しくないというものは基本的になく、個々を尊重するという姿勢が大事だと思っています。

 

また、多くの方々は自分という一人の人間の中に、いろんな自分がいるのではないかと思います。それを自覚しているかしていないかは、人それぞれだと思いますが、私の場合、いくつかのキャラクターが混在しているなと思っています。どの私も偽りではなく、自分の素だな、と最近つくづく思います。昔だったら否定したり嫌悪していただろうなと思う自分もいますが、今では、自分のそんな部分に出会った時、「久しぶりだね。まだそこにいたんだね。そんな自分だっているよね。うんうん」と否定も肯定もせず、ただ優しく目を向けてあげられるようになりました。意外とそうすると、認められて安心したように、その部分はおとなしく消えていきます。

 

話は少しずれてしまいましたが、今回は演奏の時、自分の中のどんな自分がそこに存在しているのかを書いてみようと思います。あくまでこれは私個人の感覚的なことであって、他の方がどういう感覚でお弾きになっているかは全く分かりませんので、あしからず。

 

私の中では、「憑依型・女優型・冷静型」な自分の部分を、曲や編成、演奏内容によって感覚的にミックスしたりしながら使い分けている気がします。

 

まず憑依型とはなんぞやと思われるかもしれません。要は、何かに取り憑かれたような状態ということです。ドップリと陶酔してしまっている状態、もはや我を忘れちゃって、どっかいっちゃてる、という感じでしょうか。

 

さて女優型。私の中では、この状態でいることが多い感じがしています。ある程度冷静さも持っているけれど、身も心も役になりきるという感じ。

 

最後に冷静型。私の場合、冷静型なモードだけで音楽を演奏することはほとんどないですが(心が勝手に動くので)、とてもクールな状態を指します。

 

編成が大きくなればなるほど、自分主体でなくなればなくなるほど、当たり前ですが冷静さは増します。耳を開いて、適切な音色やバランスを瞬時に判断したり、他の演奏家の方のアクションに対してリアクションしたり、指揮者の意図を汲んだりと、複雑になってくるからです。かと言って、白けたりしている訳では決してありません。ちょうどいい絶妙な自分の中のバランスというのは、曲によっても、共演者によっても、指揮者によっても、言ってしまえばその日の体調や気分によっても違う訳ですから。その中で最善の音楽を出来るような自分の状態を作るというのが大事だと思っています。

 

ここからは少し余談ですが、室内楽(カルテット以上)でのヴィオラのポジションが、私はもう本当に大好きです。

 

自分の中がものすごく細やかに、そしてアクティブにギアチェンジしていきます。それほど、室内楽のヴィオラの役割というのは色彩豊かだし、可能性が無限です。誰にも気付いてもらえなくても、誰にも感謝されなくても、自分のこの選んだ音色があって初めてこのハーモニーが豊かに響いている!と思う瞬間が、なんと幸せなことか!!!笑

 

マニアックですが、思いやりたっぷりで弾いておりますので、ヴィオラさんにもお耳を傾けていただけたら嬉しいです。

 

次回は、そんな私が愛してやまない室内楽について、もう少しお話ししようと思います。

"Follow The Light"
ヴィオラ奏者 安達真理

 

第6回 女優型?憑依型?冷静型?

Mari Adachi, Vla

 

東京生まれ。4歳よりヴァイオリンを始める.
桐朋学園大学在学中にヴィオラに転向。卒業後、同大学研究生修了。

 

2009年よりオーストリア、ウィーンに渡る。

ウィーン国立音楽大学室内楽科を経て、2013年スイス、ローザンヌ高等音楽院修士課程を最高点で修了。

 

2015年、同音楽院ソリスト修士課程を修了。

 

2013年よりオーストリアの古都インスブルックのインスブルック交響楽団にて2年間副首席ヴィオラ奏者を務める。2015年夏、6年間の海外生活にピリオドを打ち、日本人として改めて日本の役に立ちたいと決意を新たにし、完全帰国。

 

2005年霧島国際音楽祭にて特別奨励賞、優秀演奏賞受賞。
第6回大阪国際音楽コンクールアンサンブル部門第1位およびラヴェル賞受賞。


2006、2007年ヴィオラスペースに出演。『サイトウ・キネン若い人のための室内楽勉強会』に参加。


2007~2009年N響オーケストラアカデミー生として著名な指揮者、演奏家と共演、研修を積む。


2009年小澤征爾音楽塾オペラ・オーケストラ両プロジェクトにてヴィオラ首席奏者を務め、日本と中国にて公演。


2010、2011、2013年とオーストリアのセンメリンクでの国際アカデミーに参加する度、全弦楽器を対象とするコンクールにてソリスト賞を受賞。


2011年バーデンバーデンのカール・フレッシュアカデミーにて、バーデンバーデン管弦楽交響楽団とバルトークのヴィオラ協奏曲を共演、特別賞を受賞。


2011年よりカメラータ・デ・ローザンヌのメンバーとして、ピエール・アモイヤル氏と共に、スイス、フランス、トルコ、ロシアの各地で多数の公演を行なう。またこれまでにアライアンス・カルテット、ルーキス・カルテットのメンバーとしてオーストリア、ハンガリーを中心に公演を行なう。


2014年、バンベルク交響楽団にて首席ヴィオラ奏者として客演。


2015年、ローザンヌ室内管弦楽団とマルティヌーのラプソディー協奏曲を共演。
同年夏、モントルージャズフェスティバルに出演。クラシック音楽のみならず、幅広いジャンルで活躍。


世界的なヴェルビエ国際音楽祭にて、アマチュアの人たちの室内楽のレッスンにあたるなど、指導者としても活動を始めている。


ヴァイオリンを篠崎功子氏、ヴィオラを店村眞積氏、ジークフリード・フューリンガー氏、今井信子氏、ギラッド・カルニ氏、室内楽を、東京カルテット、ヨハネス・マイスル氏に師事。その他国内外にて多数のマスタークラスを受講。


http://www.mariadachi.com
 

https://twitter.com/AdachiViola

 

https://www.facebook.com/mari.adachi.viola

 

聡明な解釈と美しい音による豊かな表現。彼女はアーティスティックな才能を持っている。』

——ギラッド・カルニ(ローザンヌ高等音楽院教授、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団首席ヴィオラ奏者)

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