『おみぃのおと。』

 

ヴァイオリニスト 尾池亜美

第3回 パガニーニ

やり切ったーーー・・・
 
こう思えたのはいつぶりだろう。
実に『5年半ぶり』かも知れない・・
昨日の本番は、それだけ自分にとっておおきなものでした。
 
そりゃ、3000人入るホールでパガニーニのコンチェルトをやるってなったら誰にとっても(パガニーニ本人以外のヴァイオリニストは)大きな本番と思うのでしょうけど、
 
もともとパガニーニは苦手と思っていた私にとって、協奏曲第一番を弾くというのは、エベレスト登頂級にハイレベルで恐ろしいこと、でして。
 
それなのにいきなり文化会館の大ホールでしょ、ひえー!と思いつつ、せっかく機会を頂いたからには断らず受けてたーつ!
と意気込んだのが1年前くらい。何度も『なんでこんなもん引き受けてしまったんだ…』と憂いつつ、時間を空けながらじっくり練習してきました。
 
若手を世に送り出さんと、オーケストラのコンサートを盛んに行っている日本シンフォニーさんが、思いやり溢れるサポートをして下さり、渾身の演奏をすることが出来たように思います。
 
 
5年半前に何があったかというと、日本音コンがありました。本選でバルトークを弾いた、あの頃は大学3年21歳、(今思えば)何もわかっとらんという状態で、それでも身体から湧き上がるものとバルトークの音楽が一致して、あの日も『出し切れた』ような感がありました。
 
あの日も新日本フィルさんと指揮の梅田俊之さんの真摯なサポートとともに、室内楽的な協奏曲の演奏が出来たように思います。
 
今回は、苦手と思っていたパガニーニを、留学期間も含め沢山の文化や考え方に触れ、パガニーニの音楽を『完璧に弾かねば成り立たない曲』という思念から『イタリアンオペラの音楽と悪魔的テクニックの融合』というアイディアに自分の中で落とし込んで、
 
一に歌心、二にテクニックの種類、三に場面や情景、そして完璧さはあとに追いやったのです。まず歌だと。音楽の根源それ自体が歌です。バルトークだって大元は歌です。それを思って練習を重ねたのでした。そういう風にできたのも、やっぱり5年ぶりかな・・。
 
まあ、こういう演奏が5年に一回しか出来ないということであれば、それはちょっと悲しすぎるけれど・・・それでもやっぱり一つの『周期』が、この5年間にはあったように思います。いま思えば、です。過ぎ去ってみないと本当に分からない。
 
これまで外に向かって活動や自らの向上に努めてきた様に思いますが、改めてまた違った方向へ道が開けて行くのかも。
 
何と無くそんな気がしています。
ブルーマンデーの方のコラムを更新していた頃『音楽の道なんてものはない』と書きましたが、
やはりその時その様に断定しても、思考や物事はゆっくりと変わりゆくもの。今では『振り返ってみれば、道が見えるな』とか『自分にいま開けている道はどんなものだろう』という問いが出てきたりもしています。
 
日によって言うことがちゃうやないか!と言えば終わりです。私はどうやら科学者にはならないほうが良さそう・・・(笑)もちろん科学も『未知』へと向かうからこそ、面白いんですけど。
 
これからも『道』なり、『時間』なり、皆さんと色んなものを共有しながら、生きて行けたら楽しくて幸せです。
 
そんな本番の翌日ですが、なんとなく大丈夫な気がして、友人とのコンサートを引き受けたのでした。1時間、がっつり演奏です(笑)
 
 

Ami Oike

French Romanticism

尾池亜美 ヴァイオリン

 

尾池亜美(ヴァイオリン)

佐野隆哉(ピアノ)

 

セザール・フランク:ヴァイオリン・ソナタ・イ長調

カミーユ・サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.75

クロード・ドビュッシー:夢

 

定価2,500円(税込)

 

http://p.tl/pSYE

共演したピアニストの山本恵利花が誘ってくれた、丸の内トラストシティ・ロビーコンサート。
ここの企画をしている会社には、高校の先輩でピアニストの方が勤めていらして、わざわざ今日の回を聞きに来てくださって。
 
世界は繋がっているな、せまいな、と改めて感じます。支えて貰ってるし、支え合わないといけない。
 
とりあえず今回は、やり切ったあとの脱力尾池でした。
皆さま、ダンケシェ〜ン。。。♪(´ε` )

© 2014 by アッコルド出版