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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし
ヴァイオリニスト 尾池亜美
第94回 道 その3
こんにちは! 憂さ晴らしのお時間です。
先週末はマンチェスター王立北音楽院で同期だった友人のコンサートへ。
打楽器奏者、福原泰明氏のリサイタル。彼の地元の皆さんが、帰りを待っていたのが見て取れる、会場満杯のお客さん。老若男女で子供も可としていたため、あかちゃんもマリンバとビブラフォンの音色に耳を澄ませていた。
福原氏はブラスバンドのパーカッショニストとしてレイランド・バンドなどイギリス名門ブラスバンドで活躍してきて、昨年帰国。
打楽器をソロ楽器として扱い
様々な試みをなした録音でCDデビューもした。
学校での友達同士の集まりでは寡黙でも、音楽を語り出すとノンストップ。
リサイタルのMCでも、彼にとっての音楽に意味を話したり、『楽章間は拍手をしないという変わったルールがあるが、僕が満足そうに顔を上げた時が、終わった印です(会場笑い)』などと大変和やかなトークを繰り広げていた。
実際彼の演奏に触れたのは初めてだった。深い集中力。確信と喜びをもって一音一音辿っていく着実さ。そして、お客さんと一緒に楽しむ、舞台と客席との意思の疎通ができる人柄。ピアノ伴奏の、同じくマンチェスター帰りの日出間梓未氏とのデュオもばっちり。
温かい演奏会、幸せに解散。これが一番。
彼のCDはここで少し聞ける。
https://m.youtube.com/watch?v=cakw6GF7ou0
日本での、これからの活躍が楽しみです。ありがとう。
はたまた、別の日には誰一人音楽家のいない同年代たちの集まりに参加させてもらった。自らの話をするのも楽しいし、十人十色の仕事人生を聞かせてもらえたし、そんな皆さんに無伴奏で耳を傾けて貰うのも親密でいい。
なんだかこう、人間の対話のように聞こえる音楽って、いいな。
コラム何回分かに亘って、なにやら考えてきた、自分が辿ってきた道のようなもの。振り返れば過去という形で道はそこに見える。でも未来をみたらそこにはなくて、戸惑ってしまうこともある。
誰かに導いてもらうことは出来る。
簡単だし、あたかも正しいように思える。
でも本当は、もっと躍り出したくなるほどの喜びがある。自ら選択して一歩一歩進んでいくことに、その悦びはある。誰に逆らうことになろうが、自ら進む。自分の体と自分の楽器しか出し得ない、誰も聞いたことないような音を出す。それを作曲家が書き残した『道しるべ』の音符たちへと当てはめていく。その時に一番大きな喜びが待っている。
ちょっと振り切れる時が来たのかな、と思う。ボーリングの球が、ガーターにドーン!と行って跳ね返るような。
3/20は新しい心持ちで演奏が出来そうな…それこそ、春の訪れのような気持ちで演奏出来そうです。
リハーサルも始まりました。ピアニスト佐野隆哉氏とのデュオです。
ソナタはドビュッシー、それ以外はショーソンの詩曲やシマノフスキのアルトゥーザの泉など、小品やコンサートピースたち。
佐野さんとの共演はCD録音以来の2度目ですが、何だかもう全てをわかって頂いているような合い方でした。本番も楽しみだけど、次のリハーサルもとっても楽しみ。
遊びに来ていただければ幸いです。詳細はこちら、
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_2444.html
それではこんなところで。
良い一週間を!
Ami Oike
French Romanticism
尾池亜美 ヴァイオリン
尾池亜美(ヴァイオリン)
佐野隆哉(ピアノ)
セザール・フランク:ヴァイオリン・ソナタ・イ長調
カミーユ・サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.75
クロード・ドビュッシー:夢
定価2,500円(税込)
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