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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし
ヴァイオリニスト 尾池亜美
第91回 解決されてゆくべき問題
こんにちは!憂さ晴らしのお時間です。
先週、ちょっとしたことで、久しぶりにピアニストの母と共演する機会がありました。久しぶりに身内の音楽家と話して、私自身が日本で音楽をやってきたことを振り返る機会にもなりました。
私がヴァイオリンを始めたきっかけは、母方に音楽家が多いからでした。母の妹がヴァイオリニストなので、ヴァイオリンとピアノどちらをやりたいか、幼稚園入園と同時期に聞き迫られて後ずさり…という記憶があります(笑)
それから、10年間くらいはずっと、伴奏は母任せ。発表会の記録などを見ると、やはり親は心配になるのか、母はいつも眉間にしわをつくりながら私のほうばかりみて伴奏していました(笑)
高校に入ってピアニストの友人が出来てからは、なかなか母と弾く機会もなかったものの、やはり家族絡みのイベントなど、ちょこちょこと頼んで弾いてもらったりもしています。
自分としては小3から大学まで日本なので、わりと日本らしい音楽教育を受けてきて純日本人・日本製でいるつもりではあっても、6歳から2年間のスイス暮らしのせいか、はたまた、ピアニストの母の感性が少し日本人離れしているからか(笑)私のことを説明するときに、『帰国子女なんです』と言えば納得される、というような要素があるみたいです。
日本で大学を終えたあともう一度ヨーロッパへ留学させて頂いて、現在に至るわけですが、そのなかで日本とヨーロッパでの音楽の在り方の違いを体感できたことは、私の人生でも宝物です。
ヨーロッパでの体験自体が宝物というよりは、自国との違いを認識できたことが、私にとっては宝物だな、と思います。なぜなら、これから一生その違いを感じながら、その狭間で生きてられるような気がするからです。
ヨーロッパはこう、日本はこうで、どっちがいいとかだけでなく、その違いの根本に何があるかを考えて、歴史のことを考えたり、じゃあそれぞれの特性を生かして何ができるかという未来のことを考えるのが、今ではとても楽しいな、と思っています。
日本では、東京に来れば音大がいくつもあって、沢山の人達が音楽大学を卒業して社会へ出ます。でもその音大卒業生たちが職がないといって嘆くひと、そしてそれを疑問視、問題視するひとに、私は沢山出会ってきました。
これは、音高や音大へ行く人たちや、行かせたい親たちにとっての迷いの種でもあり、疑問であり、解決されてゆくべき問題でもあると私は思っています。
何が原因で、どう解決されて行くべきなのか。私なりの持論を、次回からお話したいと思っています。
それでは、良い一週間を!
Ami Oike
French Romanticism
尾池亜美 ヴァイオリン
尾池亜美(ヴァイオリン)
佐野隆哉(ピアノ)
セザール・フランク:ヴァイオリン・ソナタ・イ長調
カミーユ・サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.75
クロード・ドビュッシー:夢
定価2,500円(税込)
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