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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし
ヴァイオリニスト 尾池亜美
第90回 Disciplineの世界
こんにちは!憂さ晴らしのお時間です。
先週のグラーツは雪景色。とはいえチロル地方やアルプスの方ほど積もらないのですが、
大きなぼたん雪が降りつもってはみぞれに変わってそれを溶かす、の繰り返しでした。
それなので地面はぐちゃぐちゃなのですが、降ってきた瞬間の雪の結晶の、なんと大きく美しいこと!
というわけで感動して一生懸命写真を撮っていました。
自分の描くイラストの登場人物に「雨だれ君」というのがいるので、雪クンも描こうと思ってそのための素材のつもりで撮っていたのですが、雪って絵に描くのがすごく難しいのですね!諦めて雪だるまくんにしようかと思って、こんなのも描いてみました。
Ami Oike
French Romanticism
尾池亜美 ヴァイオリン
尾池亜美(ヴァイオリン)
佐野隆哉(ピアノ)
セザール・フランク:ヴァイオリン・ソナタ・イ長調
カミーユ・サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ短調Op.75
クロード・ドビュッシー:夢
定価2,500円(税込)
何をやっているんだか。
さて、グラーツの音大は前期が10-1月で2月は休みに入ります。先週は前期の最後の週で、学生の皆さんは試験や学期(ゼメスター)最後のコンサートなどあった模様です。いや、私も学生なんだった(笑)
昨年の入学時に同じ宿で知り合った友人(彼女は学生らしく忙しい生活をしている)が「今日で終わりなんだ―!」と言いながら招待券をくれたのが、彼女の所属する合唱指揮科の皆さんのコンサート。それも、合唱指揮科全員で合唱をやり、それを一部学生が指揮するというもの。会場はグラーツの楽友協会「Stefaniensaal」。
前半は学生の指揮でハイドンやブラームスからコンテンポラリーまでの色鮮やかなプログラム。ブラームスも、アカペラ合唱の作品を残していたなんて…とても室内楽的で、まるで弦楽六重奏のような響きでした。弦楽四重奏は一人ひとりが際立つので、やはり六重奏が近い。前半最後にはアメリカのVincent Youmans(1898-1946)のHallelujahという陽気な曲で大盛り上がりで終了。
休憩を挟んで後半大きな曲の前に、ブラームスへの即興と称して、ブラームスの混声合唱のためのドイツ民謡の一節を抜き出して、歌手たちが舞台裏からゆっくりと歩きながら別々にメロディを歌って入場してきました。微妙にタイミングがずれて声が重なる。その響きのヴォリュームに驚き、舞台に目を奪われていると、こんどは客席からも歌手たちが立ち上がっては歌に参加していく。もはやホール全体が楽器と成って、どこそこから男女混合の共通したメロディが聞こえてくる。ホールは至極シンプルな響きでそれぞれの声を混ぜ合う。すごい演出。誰の発案なんだろう。
合唱団が揃うと舞台に一人の俳優が立つ。そのままHugo Distler (1908-1942)作曲のTotentanz(死の舞踏)といって、「死」を演じるその人を中心に俳優が何人かおり、死と対話しながら、14人の死が合唱曲で描かれるという曲でした。指揮は、合唱指揮科の先生。基本的にアカペラで、フルート1本の旋律がそれぞれの詩につけられており、こころの深いところに残るような作品でした。
良いコンサートをありがとう!
合唱指揮科というのはなかなか珍しく、かつ面白いジャンルで、コンサートに誘ってくれた友人はウィーンではその科がなく指揮科に在籍していて、合唱団で歌う仕事もしつつ、グラーツで特定の合唱指揮科の先生に教わるために学校を移ってきたのだそう。
合唱というものは私は普段なかなか触れず、コンサートも今回が初めてでしたが、ハイドンやブラームスがわりあい器楽的で、室内楽のような音の響きだったのに対して、コンテンポラリーの作品は人の声の集団という特性を活かしていて、和音や声色の移り変わりが絶妙で、クールな作品ばかりでした。また聞いてみたいです。
私自身はつかの間の静かな日々で、練習し放題。手を変え品を変え楽しんで試行錯誤しています。みかんに顔を書いたり、本を読んだり、聞いたり観たりもします。
それでは、どうぞよい一週間を!
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