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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし

ヴァイオリニスト 尾池亜美

第69回 重音の音階練習

こんにちは!憂さ晴らしのお時間です。
ヨーロッパ諸国はもはや夏の名残などなく、イタリアやスペインもまもなく秋口というところでしょうか。
 
先日、伝説の多いヴァイオリニスト、ルジェロ・リッチの音階練習の教本を見始めました。
一般的な左手のテクニックから更に発展し、手指の柔軟性に特化したこの本は、今まで見たことないような練習法や指使いがいっぱいでした。
 
それでも、「ああ最初からこういう練習法や指使いを知っていればなあ。。」と思うようなものも沢山あって、ひと通り音階や和音を全調で弾けるように成った方には、かなりおすすめな教材です。
 
練習を終えたあとは手が温かくて筋肉がしっかりとストレッチされていて、なんだかヨガかピラティスをやった後のような感触です(笑)。
具体的には、開放弦を弾きながらそれより低い方の弦で音階を行ったり来たりしたり、同じポジションで指を伸ばすだけで低いところから高いところまで抑えたり、隣同士の音も1-2-3-4ではなく、1-1-2-2-3-3-4-4と行くことで動きの大きなシフティングを減らしたり...という、具合です。
 
パガニーニのカプリスや、いろいろな曲を例に上げたりもしてて、「こういう場合はこう」というレッスンのようなアドヴァイスも入っていて、聞くだけでは知り得ないリッチの奏法が、自分の手で再現できるようで、想像力が掻き立てられます。
 
この本でもやっぱり、重音での練習がかなり大事にされています。「例えば弦楽四重奏団の奏者が音程の感覚に優れているのは、彼らが常に和音の中で音を出しているから、音程と和音の感覚に細心の注意を払い続けているからである」とリッチは本の中でも言っています。
 
難易度としては、カール・フレッシュやフリマリーの単音の音階練習 - ハイフェッツがアモイヤルへ伝えた3度を始めとする重音の音階練習 - リッチの左手のテクニックのための練習という順で難しくなっていくような気がします。
アモイヤル氏の音階練習も、亀の様にゆっくりですが、進めていきたいと思っていますので、ご期待ください。
 
それでは、よい一週間を!

© 2014 by アッコルド出版

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