〈2〉ソリストは総合音楽家
アッコルド編集長 青木日出男と、
「尾池のブルーマンデー憂さ晴らし」執筆中の
ヴァイオリニストの尾池亜美さんが、
弦楽四重奏について語ります。
尾池さんは主にソリストとして活躍していますが、
一方で弦楽四重奏へも
非常に思い入れがあるそうです。
前回は、ソリストであるより
音楽家でありたいと語られましたが、
今回はアミ・クァルテット結成の経緯をうかがいました。
アミ・クァルテットの誕生
青木
コンチェルトも勿論素晴らしいですが、
それだけになると、せっかくの音楽の楽しみを
狭めているいるように思います。
尾池
最近思うのは、昔にもどっているのではないかな、
ということですね。
昔は、コンサートマスターもやり、室内楽もやり、
ヴァイオリン・コンチェルトもやった、と思うんです。
でやはり、作曲家も教会オルガニストであったり、
宮廷音楽家であったりして、
作曲をしていました。
そのように音楽家の中でいろいろな仕事を
もっていたと思うんです。
それが、それぞれ、専門的に究められていった結果、
だんだん専業化していったということだと思うんです。
青木
20世紀の時代は、
特にそういう傾向があったように思います。
いままた、戻る傾向に?
尾池
ちょっと戻る傾向があるように思います。
これからは、ヴァイオリンが上手く弾けるだけでは、
音楽家として認められないのではないかな、
という意見もあります。
青木
ヴィルトゥオーゾを披露するだけでは、
音楽家として認められない、
ということですね。
尾池
勿論、総合的に音楽をするということでも、
一つの専門分野を究めるということは
大事なことには変わりないですが。
バランスだと思います。
ハイフェッツも、あれだけソリストとして
評価されたと言っても、
それを支えるたくさんの知識と経験があるから、
ソロが上手なんであって。
一本の柱が、何の支えもなく立つということは
ないですから。
ソリストには、たくさんの経験と知恵といった
支えがないと。
青木
本当のソリストというのは、
きっと、総合的な音楽家なのでしょうね。
尾池
ヴァイオリンだけ練習していて
ソリストになれるかといったら、
けっしてそうではないと思うんです。
青木
そういった尾池さんの
幅広く音楽をするという考えの下、
弦楽四重奏の活動もあるということですね。
尾池
そうですね。
弦楽四重奏はできるだけ時間をかけて
長くやっていきたいと思います。
青木
アミ・クァルテットの誕生ですね。
尾池
フランス語で、アミは、友達、ということなんです。
(次回は、ドビュッシー、イザイについて語っていただきます。)
アッコルド1周年記念イベントに出演します。
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