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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし

ヴァイオリニスト 尾池亜美

第61回 大好きな自主企画のコンサート

「今日のイベントのプロデューサーさんですか?」
つい先日掛けられた言葉だ。
 
いやいや、そんな滅相も...
と答えそうになったのだが、
立ち位置と流れ的に
そういう扱いになってしまったのは事実だった。
 
ヨーロッパで同門のヴァイオリニストの友人が
たまたま来日し室内楽の公演をすると聞き、
聴きに行くのを楽しみにしていたのだが、
「滞在中にフリーな日があるので
どこか違った場でも演奏できないかしら。」
とメールを貰った
 
3~4人編成のプログラムを用意していて、
メインはシュニトケとペンデレツキの室内楽曲。
それに、
バッハのシンフォニアを編曲したものをいくつか。
素敵な演目と優秀な奏者が揃うなら、
どこかに演奏の機会が無いかしら、
と考えを巡らせていた。
 
自分で全てを企画することは不可能だし、
なかなか良い「オーガナイザー」
が思い当たらないし...。
途方に暮れた頃にある友人に相談すると
「思い当たる場所がある」とのことで、
ある個人宅をお尋ねした。
そこは家屋内のほとんど
(床も、柱も、襖戸も...)が木材で、
がらんとしてシンプルで、
パフォーマンスに最も適した空間だった。

「雨上がりの室内楽コンサート 

~世界一、近くで弦楽器を聞く~」  

 

2014年6月29日(日)12時開場 13時開演   

会場:名曲喫茶ミニヨン(JR中央線、地下鉄丸ノ内線の荻窪駅から徒歩3分)

 

出演:尾池亜美、澤亜樹(ヴァイオリン)、長尾春花(ヴィオラ)、山本直輝(チェロ)  

 

曲目:

ルクレール/二台のヴァイオリンのためのソナタ第6番(尾池&澤)

 

イザイ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番~クライスラーに献呈~(尾池)

 

ドビュッシー弦楽四重奏曲(4人)  

 

チケット:前売り2500円 当日券3000円(全席自由・開演前にお飲み物つき)

   

ami0816friends@gmail.com 

ご予約は、このメールアドレスにご氏名、ご予約枚数、ご連絡先(TEL)を記載の上メールをご送信下さい。担当者がお返事いたします。 不明な点もお気軽にお問い合わせ下さい。

家主さんに相談すると、
「ちょうどイベントをやりたいと
思っていた時だった」とのことで、
話はトントン拍子に。
そういうことで仲介役として
メンバーの音源やプロフィール、
曲目や曲解説、進行などなど計画を進め、
いざ当日。
 
お客さんに案内をし、適宜軽食を運び、
皆さんに曲目の紹介をする。
あとは演奏に浸ることが出来る。
これが「演奏会に携わるけど弾かない人」
の楽しみかな...。
こちらはリハーサル中のメンバー。
フンボルト弦楽トリオが、
クラリネッティストのモリツ・ロレッケ
を迎えての室内楽
全員、チューリヒ芸術大学在籍中だが、
あらゆる形のアンサンブルや、
オーケストラの仕事等をし始めている。
 
 
空間と曲がマッチして、
お客さんはシュニトケやペンデレツキの名前を
聞いたことが無くても、スッと聞き入っていた。
「プロデュース」なんて大層なことは何もしていなくて
良い場を持った人と良い曲を弾ける人たちに
出会ってもらって起きた出来事。
それが純粋に楽しかった。
普段が表舞台に出る方なので、
裏方に回ることは新しい発見が出来て、
結構好きかもしれない。
 
一度企画をすると、
「今度はあれがやりたい」
「こんなことも試したい」
などどんどんアイディアが浮かんでくる。
ヴァイオリンを弾くこと、
それを極めることが私の柱だけど、
それを周りから支えるもの、経験も必要だと思う。
故に自主企画のコンサートも大好きである。
 
もともと「色々なことに興味がある」
という自分の性分もいい加減に認めて、
多方面の勉強と経験をし続けて生きたいと思った。
知れば知る程、
自分の無知に気付くもんだなあ、とも思った。
 
 
やれやれ、
なんだか今回は文体が
いつもとちょっと違うまま書いていました。
梅雨も終盤です。
どうか良い一週間を☆

© 2014 by アッコルド出版

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