クラシックの作品であるけれども
リ・アレンジ
チェリスト古川展生さんの新たな世界
──革命的演奏スタイル
リサイタルの革命的演奏スタイルを見た思いだ。
2月17日のヤマハホールでの古川展生さん(Vc)と塩入俊哉さん(Pf)のコンサートだ。
「クラシックの作品であるけれども、それをその通り弾くのではなくて、リ・アレンジするわけです。塩入さんは、アレンジの天才でもあるのですが、例えば、ショパンの別れの曲やクライスラーの小品といったものを塩入風にアレンジしてもらって、ジャズ風の愛の悲しみ、といった新しい一面を感じてもらえるような作品です。」
昨年、古川さんに取材したときの言葉だ。その意味が身に染みいるように理解できた。 別に目新しいことではないと思われる方もいるかもしれない。だが、私には、新しい演奏スタイルとして、これから定着していくような気がする。
そう思わせられたのは、やはり素晴らしいアレンジと演奏のなせる業なのであろう。 カッチーニのアヴェ・マリアには、心を鷲掴みされた。 当夜アンコールで演奏されたリ・アレンジの「鳥の歌」には、新たな感動を覚えた。
このコンセプトは、古川さんが新しくリリースする「古川展生GENTLE SOULS」で、まとめられている。古川さんは、今年、バッハの無伴奏組曲全曲もリリースする予定。
取材:青木日出男
古川展生GENTLE SOULS
古川展生Vc、塩入俊哉Pf,Arg
収録曲
別れの曲(ショパン)
アヴェ・マリア(カッチーニ)
愛の夢(リスト)
マイ・フェイバリット・シングス(F・ロジャース)
ブルレスク(カプースチン)
水のない河(塩入俊哉)
愛の悲しみ(クライスラー)
愛の言葉(カサド)
ルーマニア民族舞曲(バルトーク)
ソレダー(ピアソラ)
荒城の月(滝廉太郎)
鳥の歌(カザルス)
約束(塩入俊哉)
MECO-1019(定価¥2,857+税)
撮影:KOBAYASHI Yow
撮影:KOBAYASHI Yow