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ストラディヴァリ財団ヴァイオリン美術館

ストラディヴァリの街

 

クレモナ ヴァイオリン博物館

Museo del Violino

重松貴子・文

イタリア、ロンバルディア州のクレモナは、ミラノから東南に車で3時間ほど。ポー川の左岸にあります。
 
16世紀からアマティ、グァルネリ、ストラディヴァリという名だたる名工が製作に励み、今も面々と続く弦楽器の街。
 
2012年にはその製作技術がユネスコの無形文化遺産に登録されています。 そのクレモナに2013年9月、バイオリン博物館が開館しました。
 
それまではコムーネ宮内とストラディバリアーノ博物館に分かれて展示されていた、ストラディバリウスやアマティはじめ地元の名工の作った名器の数々や製作に関するものが、最新の設備のモダンな博物館に一同に展示され、便利に鑑賞できるようになりました。
 
博物館は地元実業家が運営する財団が出資し、街の中心の大聖堂から程近い宮殿を改装したもので、外側は荘厳で中はモダン。
 
館内では、その発祥から、製作方法を現物や資料、映像で順に展示し、ストラディヴァリが使っていた工具類も見せてくれます(学芸員さんにお願いすると引き出しを開けて見せてくれます)。
 
また土日は館内の工房で職人さんが製作しているところを間近で見ることができます。私が訪れた時はたまたま日本人の高橋修一さんが作っていらっしゃいました。クレモナには有名な国立の弦楽器製作学校もあり、日本人の製作者もたくさんいますが、高橋さんもクレモナに来て14年とのこと。博物館でのデモンストレーションは職人さんのボランティアで輪番制だそうです。
 
展示場は名器揃いですが、中でも「クレモネーゼ」はスクロールといい、光っています。個人的にはアンドレア・アマティCarloIX・1566年製に魅せられました。 象嵌の素晴らしいヘリエも企画展でちょうど見ることができて大満足! チェロやヴィオラももちろんあります。興味のある方にはたまらない品揃えではないでしょうか。
 
併設の462席のコンサートホールは日本人の豊田泰久さんの音響設計によるもので、いろいろなコンサートが開かれています。
 
私が訪れた2013年11月は日本の方が、展示中のVesuviuでミニコンサートをしていました(展示の楽器は演奏のためにも使われます)。12月にはウト・ウギが演奏するというポスターがありました。
 
1階のカフェもおしゃれで味もよいと評判ですし、ミュージアムショップは絵本から専門書、ヴァイオリンモチーフの文具や雑貨、ヴァイオリンの型紙まで売っています。Tシャツは館長さんのお勧めでした。
 
耳寄り情報
日本人の安田恵美子さんというとても素敵な学芸員さんがいらして、ちょうどシフトであたれば、持ち場は離れられなくても館内の説明や相談にのってくれます。お勧めなのが15人まで30ユーロの館内ガイド。第1室から第10室まで、英語のイヤホンガイドより何倍も楽しめます。博物館の詳細など安田恵美子さんのサイトでご覧になれます。
http://www.japanitalytravel.com/cremona/top.html
 
クレモナ大聖堂やヨーロッパ一の高さを誇るトラッツォ(塔)も味わいがありますし、ストラディヴァリの工房跡や像など歩いて楽しめます。
 
バイオリン博物館(Museo del Violino)
住所: Piazza Marconi Cremona, 26100, Italia
開館時間:火〜日曜 10:00〜18:00
入場料:1人:10ユーロ
詳細:http://www.museodelviolino.org(イタリア語のみ)
 

 

 

〈春のイベント情報〉

 

春のイベント”音工房”
(L'Opificio del Suono)
(2014年1月-6月)

 

1.コンサート・シリーズ①
「ニコロ・アマティの遺産」
L'eredit. di Nicol. Amati, MDV in concerto
(室内楽ホール Auditorium Giovanni Arvediにて開催)
 
クレモナ・ヴァイオリン製作クラシック期のマエストロ、ニコロ・アマティと、彼から多くを学 んだジュゼッペ・グァルネリ、フランチェスコ・ルジェリ 、そしてアントニオ・ストラディヴァ リの弦楽器を用いたコンサートです。いずれも当館に展示されている楽器が使用されます。各コ ンサートとも、演奏前に楽器についての短い解説が入ります(イタリア語)。演奏は、クレモナ の音楽アカデミーWalter Staufferの学生によるものです。
 
●2月9日(日)午前11時より
ニコロ・アマティのヴァイオリン「ex Collin」(1669年製 作)を用いたヴァイオリンとピアノのコンサート
 
●3月9日(日)午前11時より
アントニオ・ストラディヴァリのヴァイオリン「Clisbee」 (1669年製作)を用いたヴァイオリンとピアノのコンサート

 

●4月13日(日)午前11時より
フランチェスコ・ルジェリのヴァイオリン(1675年製作) を用いたヴァイオリン・ソロコンサート
 
●5月10日(土)午後9時より
Rolf Lislevandによるアントニオ・ストラディヴァリのギ ター「Sabionari」(1679年製作)を用いたギター・ソロコンサート
 
●6月8日(日)午前11時より
ジュゼッペ・グァルネリのヴァイオリン「Quarestani」 (1689年製作)を用いたヴァイオリンとピアノのコンサート
 

 

2.コンサート・シリーズ②
「音楽院コンサート」
I concerti del Conservatorio
(室内楽ホール Auditorium Giovanni Arvediにて開催)
 
北イタリアの各都市の音楽院で学ぶ学生達によるコンサートです。特別ゲストとして、日本の若 手オーケストラ 豊田市ジュニアオーケストラのコンサートも予定されています。
 
●1月26日(日)午前11時より
ノヴァラ音楽院Guido Cantelliソリスト・コンサート
 
●2月23日(日)午前11時より
ピアチェンツァ音楽院Giuseppe Nicolini管楽器コンサート
 
●3月23日(日)午前11時より
コモ音楽院Giuseppe Verdiハープ・コンサート
 
●3月30日(日)午前11時より
豊田市ジュニアオーケストラ(林俊昭氏指揮)コンサート
 
●4月27日(日)午前11時より
パルマ音楽院 Arrigo Boitoバロック音楽コンサート
 
●5月25日(日)午前11時より
アレッサンドリア音楽院 Antonio Vivaldiイタリア民謡コン サート
 
●6月22日(日)午前11時より
マントヴァ音楽院 Lucio Campiani打楽器コンサート
 

 

チケット料はお一人様10ユーロ
予約先 marketing@museodelviolino.org
 
 
3.特別展
「20世紀のイタリア弦楽器製作家たち」
Liutai italiani del Novecento nelle collezioni del Museo del Violino
(ヴァイオリン博物館第7展示室にて開催*)

 

ポスト・ストラディヴァリの時代、19世紀、20世紀にかけてイタリアで活躍した個性あふれる 弦楽器製作家達の楽器を、ひと月ごとに地域別に分けて紹介していきます。各展覧会初日には、 専門家を招いて講演会が催されます。(イタリア語)
 
●1月11日-2月7日
Marino Capicchioni (サン・マリノ共和国出身)展
 
●2月8日-3月7日
トスカーナの製作者達展
 
●3月8日-4月11日
Giuseppe Fioriniとボローニャ派の製作者達展
 
●4月12日-5月9日
ミラノ派の製作者達展
 
●5月10日-6月13日
ジェノヴァ派の製作者達展
 
●6月14日-7月11日
Gaetano Sgarabotto(ヴィチェンツァ出身)展
 

 

*チケットはヴァイオリン博物館入場料に含まれます。
 

高橋修一さん

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ストラディヴァリの街 クレモナ ヴァイオリン博物館

 

新幹線をつくる手仕事の技

山下工業所・作 アルミ合金製ヴィオラ

(展示は終了しています)

 

インタヴュー

スギテツ結成10周年

東フィルとの共演 声楽との融合

アルミ製ヴァイオリン

(山下工業所製作の楽器を使用)

 

2013年イタリア・クレモナのモンド・ムジカ

ポー川

ウト・ウギのポスター

チケット売り場とエントランス

聖堂とトラッツォ

街角のミュージアム案内板

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