響きは時空を翔けめぐる
川本嘉子ヴィオラリサイタル#1
ヴィオリスト川本嘉子さんが、ゲストにハーピスト吉野直子さんを迎えてリサイタルを行なう。川本さんは、このリサイタルを「実験的な試み」と、話してくださった。
「今回のプログラムは、かなり珍しいラインナップになっているんです。
シューベルトのアルペジオーネソナタと、ドビュッシーのソナタは、通常チェロとピアノで演奏されます。武満徹の『海へ』は、アルトフルートとギター、またはハープのために書かれています。
つまり、すべて他の楽器のために書かれた曲なのですね。
こういった場合、実際に音を出してみて、演奏可能かどうか検討するのですが、今回は音を出す前にプログラムを決めたのです。
すなわち、実験なんです。
もちろん、『できる』という確信が、多少なりともあったので『このプログラムでいこう』と決めたのですが。
道程がどうであっても『成功』を死守するつもりです。」
ーー ハープとの共演は珍しいと思うのですが、どのような経緯で?
「吉野さんがドビュッシーをチェロと弾いている本番を聴いて、素敵だなあ!と思いました。
ご存知のように、ドビュッシー(フランス音楽)とハープは大変相性が良く、ピアノに書いた音すらハープを想像して書いたのだろう、と思われる箇所がたくさんあります。
今回のリサイタルでは、ドビュッシーのアイディアの『根源であったであろう』を音に変換してお届けしたいと思います。」
ーー 吉野直子さんとは、これまでも共演されているのですか?
「吉野さんとは同じ世代の演奏家なので、随分の演奏時間を共有してきました。
20代の頃、同じ夏、マルボロ音楽祭に参加したので、その時にプライベートでも仲良くさせていただいて、それ以来の仲です。偶然にも、同年参加だったので嬉しかったですね。
その後もサイトウキネンなどで、ほぼ毎年、夏を共に過ごしています。
フルート、ハープ、ヴィオラの組み合わせでは、ドビュッシー、武満徹が立派な作品を残していますし、バックスやブリッジなどは、ハープとヴィオラための作品もあるので、私達は幾度もの演奏会を共にしてきました。
その都度 成長したいという気持ちと共に、反省しながら……」
ーー 聴衆にメッセージを。
「どんな音がするのか、まずは聴いてくださる方それぞれが想像して、そして来場してくださると嬉しいです。」
取材:向後由美
インタヴュー
響きは時空を翔けめぐる
川本嘉子ヴィオラリサイタル#1
日時:11月2日(土) 19:00開演
会場:両国門天ホール
出演: 川本嘉子(ヴィオラ)
ゲスト 吉野直子(ハープ)
曲目:バッハ/シャコンヌ、シューベルト/アルペジオーネ・ソナタ、ドビュッシー/アラベスク 第1番(H. ルニエ編)、チェロ・ソナタ(ヴィオラ版)、トゥルニエ/ジャズ・バンド作品 33、武満徹/海へ
料金:全席自由 一般予約3000円、学生2700円(当日券は500円増し)
予約・問合せ:両国門天ホール
tel/fax :03-6666-9491(平日13:00~17:00)
主催:両国門天ホール(一般社団もんてん)