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第三期ウェールズ

 

――横溝さんは、第一期ウェールズ弦楽四重奏団のメンバーで、今回、復活されたわけですが、今のお気持ちは?

 

横溝「戻ってこれて単純にとても嬉しく思っています。前回辞めるときに、N響に入りたいという小さい頃からの夢があって、そのために高校大学と徳永二男先生の下で、勉強してきたので、もの凄く悩みました。先生と何度も話をしましたけれども、その中で、僕はN響を選んだのですね。ウェールズ弦楽四重奏団が正にこれから、というときに、断腸の思いで辞めたわけです。つらかったです。

 

で、僕はN響に入り、ウェールズ弦楽四重奏団は留学したのですが、この間、僕が常々意識していたことは、勿論、彼等の活躍を祈っていたこともありますが、彼等といつかまた一緒に演奏したときに、『こいつ落ちぶれたな』『こいつダメだな』とは絶対に思われないようにだけはしようと思っていました(爆笑)。それは一緒に辞めた水谷晃君と一緒にやるときもそう思われたくないと、常にそう思っていました。それをずっと意識していたので、彼等が僕にまた声をかけてくれて、僕が戻ることが決まる前に、一度アンサンブルしたのですが、その結果、彼等が僕を選んでくれたことは、もの凄く嬉しかったです。」

 

﨑谷「僕たちが帰ってきて、一緒に弾いて、何か違ったものを感じた?」

 

横溝「それは、勿論、違ったものを感じたよ。だって、僕はできあがっているものの中に入っていったわけだから。だから多少違和感もあった。」

 

――カルテットに関して、ご自身は別の方法で積み上げたものがあった?

 

横溝「勿論、N響の中で、カルテットを組んだり、水谷君とも別の形で室内楽をやってはいました。ただそれらは、単発のコンサートであったりするものですから、年月かけて積み上げていく、というものではないですね。」

 

――ふるさとに戻ったような

 

横溝「そうですね。」

 

富岡「僕から見ても、横溝君から見ても、僕らは変わったって。今、横溝君に僕らが留学でやってきたことに合わせてもらっているところがだいぶありますが、僕から観ても、横溝君は昔と違っている。前はけっこう僕は浮き足立ってしまう方だったのですが、いつも本番は、横溝君を頼っていました。その安定感が凄い。久しぶりに横溝君と合わせたとき、以前とはまた変化していて、音も大きく鳴っているし、積極性が前とタイプが違っていました。僕は、今の横溝君の演奏の方がすごく好きです。」

 

横溝「やっぱりオーケストラって、自分を犠牲にしなくてはいけない部分がありますよね。指揮者がまず居て、限られた練習時間の中で、楽曲を商品としてお客様に届けなくてはいけない。時間が少ない中で、指揮者の言う事がまずあって、それを首席陣がどのように受け取って、どのように演奏するかを僕らが感じ取る。ですから、僕はこうやりたいのに、というものを前面出すチャンスというのはなかなかないのですが、カルテットになれば、それができるじゃないですか。逆に言うと、僕がカルテットを離れていた数年間で、僕の溜まっていたものが、やっと発散できる場ができたんですね(笑)。」

 

富岡「昔弾いていたときのチェロとヴィオラの関係性、それぞれのカルテットで、いろいろなキャラクターがあって、その関係性で弾くわけですが昔と今とでは変わっているところが面白い。」

 

横溝「勿論、今は、僕としては、彼等が留学して学んだことに対してマッチングさせる作業があるので、それをやりながらですが、ただ、例えば内声の掛け合いの時に、四分音符一つの音価にしても、三原が先に出てきた四分音符がちょっとテヌート気味だな、といったことを敏感に感じるように今は心がけていて、ここをこう弾きたい、ということよりも、先に、あ、こういうときはこういう風にやってきたのだな、といういわばスタイルのようなものを僕はいま吸収しようとしています。その作業の割合の方が今は大きいですが。」

 

 

絶対音感から相対音感へ

 

――以前、﨑谷さんから、一つの音に四つの音程を使い分けている、というお話をうかがいました。

 

﨑谷「音程は以前ほどは考えなくなりました。つまり、意識して調節するようなことはなくなってきました。音の性格によって一つの音でも四つの音程を使い分けるわけですが、それは、もう考えなくても自然とその場に相応しい音程になるように自然に弾くことができるようになりました。留学して、もう音程のことは特別意識しなくなりました。つまり、その音の持つ役割によって音程を変えていたわけですが、かつてよりもより体に感じるハーモニーとして捉えられるようになった。

 

この音に対してこの音程をはめる、というのは、ただの音列でしかない。でもそれが自然にとれるようになったということは、その中でのバランスに意識を向けられるようになった。ファラドの時のファと、レファラの時のファとでは役割が違うじゃないですか。同じ音程だったとしても。その時のバランスの取り方とか、音色の付け方とか、そういうことによってハーモニーのキャラクターというものが、変わってくるので、割とそちらに集中できているかな、と思います。ですから、同じ音でも、その音をどのように処理するか、バランスをどうするのか、出すのか引くのか、それによってまったく聞こえ方が変わってくると思うので。そういう作業をやっています。」

 

──音程を気にする段階から、もっと先へ進化している、ということですね。

 

﨑谷「そうですね。音程が自然とハーモニーになってこないといけない、ということですね。僕らは絶対音感があったので、どこかで考えなくてはいけない問題であったとは思いますが。ヨーロッパに行って衝撃的だったのは、弦楽器奏者に絶対音感がなかったことです。だから、単純にハーモニーに入っていけるわけです、彼らは。」

 

──彼らは絶対音感を持っていないからこそ、スムーズにハーモニーに入って行けた、と言うことですね?

 

﨑谷「そうです。例えば、ハーゲン・クァルテットのライナー・シュミット先生には逆に驚かれました。エッ、君たち絶対音感があるの?!って。三原にはあまり絶対音感がないんです。」

 

三原「桐朋の学生にあるまじき事かもしれないけれど(笑)。」

 

﨑谷「逆にそれが良かったのかもしれない。」

 

──つまり、相対音感を持っていらっしゃるということですね。

 

﨑谷「そうです。」

 

──皆さんは、つまり絶対音感と相対音感の両方を持っている、ということですか?

 

﨑谷「僕は絶対音感より相対音感に近くなりましたね。例えば耳馴染んだ曲を鼻歌で歌うときに、全然違う調性で歌い出したりします。」

 

──留学についてはいかがでしたか?

 

三原「留学という意味では、ライナー先生に師事したことは大きかったと思います。そこで作品に対してじっくり向き合うことができましたから。」

 

﨑谷「そうだね。古典のスタイルというものに関しては自分たちのものができたと思う。」

 

三原「以前は、自分たちの持っているものを何とか出し合って、ということでやっていたと思うのですが、我々共通の認識とスタイルというもの、教科書というかベースになるものが確立されてきたように思います。そしてそういった知識とともにハーモニー感覚が磨かれ、実践へ繋がっていると思います。そういうものを得られたことはとても大きなことでした。」

 

──オケと並行してカルテットをなさっていますが、まったく分けて考えていらっしゃいますか?

 

横溝「僕は、そもそもオケではヴァイオリン、カルテットではヴィオラということで楽器も違いますので、完全に意識は分けています。オケの方を軽く考えているわけではないですけれど、やはり次々と曲を演奏しなければいけないですし、指揮者もソリストも、どんどん変わります。」

 

﨑谷「そうだね。一音にかける思いの量は違うかもしれない。」

 

横溝「オーケストラの時にハーモニーのことは考えないです、少なくとも僕は。トゥッティですし。同じ音を出している楽器と合わせるべきだ、とか、隣の方とか、セカンド・ヴァイオリンとの三度の合わせ方とか、それくらいは感じますが、全体としては、考えたところでどうなのか、というのがあるので。音色もそうですね。」

 

──﨑谷さんは、オーケストラ活動も始めて、来年の4月には、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターに就任されますが、オーケストラでの音程追求に関しては。

 

﨑谷「大変有り難いことに、神奈川フィルでは、僕に対しても意見を聞いてくださるんです。いろいろなことを提案できるわけで、そこは大変に嬉しいところです。僕がオケをやるならコンマスをやりたいと思っていたのは、人の上に立ちたいという感情では無く、ディスカッションして何かを発信できる立場になりたかった、ということが大きい。それによって、各パートのトップの方とコミュニケーションをとる。セクションでも話し合う。コンマスになればそういうチャンスがあるわけですね。

 

勿論、オーケストラとカルテットと最終的に求められているものは別のものだと思います。でもやる作業としてはそんなには変わらないのではないか、楽しくできるのではないかと思います。」

 

いまだかつて無いカルテットとして

 

――今後のウェールズ弦楽四重奏団の方向性は。

 

富岡「留学して勉強してきたことやハーモニーを大事にすることは変わりません。アンサンブルの仕方とかも、追求していくのはもちろんですが、それぞれ皆、カルテット以外の演奏活動もしているので、いろいろな意味で柔軟になっていくと思うんです。僕も日本に帰ってきて、オーケストラの仕事をやっているときに、まだ、試行錯誤の段階で、いろいろ試しているので、日本に帰ってきたときと今とではまた変化があります。今、こうだ、ということはまだ言えないのですが、カルテットでやったことが、他の仕事で、活かせることも活かせないこともある。でもそういうふうにしながら変化していくものだと思います。」

 

横溝「あくまでも目標ですが、単にオケマンが集まったカルテットにはなりたくない。ウェールズはウェールズの音がしているカルテットなのだ、ということを主張していきたい。カルテットという団体として世に出て恥ずかしくない団体を目指したいと思います。あと、僕は、N響ではヴァイオリンを弾いて、ここではヴィオラを弾いているのですが、そうするとよく周りの方が、両方で稼いでいいな、みたいな言われ方をすることがあるのですが、そうじゃなくて、ウェールズに関しては、完全に一ヴィオリストとして、存在していたいし、副業的な感じでやっているわけではない、ということを確認しておきたい。」

 

三原「探究心。それは、レパートリーを広げることもそうですし、常に一カルテットとして、上を目指したい。」

 

﨑谷「自分らしさを抑えた活動しかせず、いつの間にかやっているうちに、周りに染まってしまう。それがすごく嫌です、僕は。解釈やスタイル云々とか、ノン・ヴィブラートがどうとか、いろいろなことを言われると思いますが、いいじゃない別にと。僕もこれで大丈夫かな?受け入れてもらえるかな?と思いながらやってきた部分はあるけれど、実際このスタイル生きてこられたし、楽器弾きとして。それをいいと思って、選んでくれる人がいるわけですから、もう自分を信じてぶれずに行こうと。たぶん日本で僕らみたいなスタイルで演奏する人って、まだ、なかなかいないと思う。カルテット以外でも。ちょっと変わっているな、と言われることもあるかもしれないけれど、別にそれは、けっこう慣れてきました。図太くなってきました(笑)。ウェールズは本当にやりたい事をやれる場所であり続けたいですね。」

 

10月18日のコンサートについて

 

――ハイドン、ヤナーチェク、シューベルト、ばりばりのプログラム。

 

三原「最終的には皆で決めるのですが、プログラミングは僕から提案することが多いです。メインなるシューベルトは、彼の最後の弦楽四重奏曲で、勿論難しい曲です。ベートーヴェンの後期のように、こういう曲は若い世代よりも、もう少し歳を重ねてから演奏するべき、と言う方もいますが、あえて、僕らのような若い年代でこのような大曲に挑戦したい、というのがあって。ある意味、弾き続けたい曲、と言えると思います。それに、年取るまで人前で弾かないで、突然弾けるわけがないと思っています。」

 

﨑谷「テクニカル的にも難しいですから、どんどん弾いて弾いて、弾きまくって、その方がいいよね。60歳で初めて弾いた、となるとその先どうなるの、という感じですよね(笑)。」

 

三原「シューベルトはライナー・シュミット先生の下で、みっちり勉強した曲でもあります。是非演奏したい。」

 

﨑谷「15歳から弾いて、60歳で弾いた方がいいよね。」

 

――年齢と体力のバランス、充実したところを探すのが難しい?

 

﨑谷「精神的にやられちゃうような曲ですからね。弾いていても。シューベルトの15番とか、ベートーヴェンの後期とかは。あまりにも早い段階で弾くと精神的にもたない、と僕は思います。ベートーヴェンの作品132を大阪国際室内楽コンクールで弾いた時も、ヒーヒー言いながら弾いていましたからね。やっぱり曲がでかいから、曲をテクニカル的に音楽的に理解しているか、ということではなく、精神的に2楽章が終わったくらいで精神がやられていることがある(苦笑)。精神力のようなものは、ある程度経験をつまないといけないかもしれない。それも弾きながら分かっていくことだから。弾き続けることというのは大事だと思います。」

 

三原「ヤナーチェクは彼らがミュンヘン・コンクールで弾いた曲ですし、それでその二つを並べたら、残り時間がほとんどない。そこでハイドンのOp.1-1なら、時間的にも、いろいろな意味で相応しい曲かなと。ハイドンもシューベルトも書いた時期は20代ですし。」

 

﨑谷「ハイドンって意外とフレーズが変だったりするんですよ。(小節数が)5、5、2、3、5となって理解するのに時間が掛かることがあるけれど、これはそんなに変ではない。」

 

三原「3楽章では、小節の真ん中からフレーズが始まったり、最後の楽章も(小節数が)6,6,5,4,6となっています。」

 

﨑谷「それを体に入れる。あとは語法としては、他の古典とそんなにかけ離れていない。あとはボーイングで調節する。」

 

ピッチのこだわり

 

──ウェールズの基本ピッチは?

 

﨑谷「443hzです。高くしたんです。それはオケが高いから(笑)。」

 

──オケは442 hzでは?

 

﨑谷「442 hzと言っているオケでも、木管楽器のピッチが上がっていくから、最終的にそっちに合って、リハが終わる頃には、443 hzになっているところが多い。」

 

横溝「以前、ミュンヘン・コンクールの合わせをしていた頃、N響にエキストラとして行って、その演奏後、カルテットの合わせをしたとき、446 hzだったことがあります(笑)。」

 

﨑谷「当時トラでお世話になっていた読響でも、練習後でだいたい444 hzでしたね(笑)。だから、ミュンヘン・コンクールの頃までは、僕たちウェールズ弦楽四重奏団も444 hzでやっていました。みんなオケ帰りで合わせしてたので(笑)。でもそれだと今やっているような音の響きは作りづらい。ヴァイオリン弾きの観点からいうと、444 hzまで高いと、ちょっと導音とか高めにとりたくなってしまう。どうしても。倍音の鳴り方も関係してくるかもしれないけれど、以前よりだいぶ関係なくとれるようになってきたけれど、444 hzまで行くと、ハーモニーよりもきらびやかな音をイメージするかな。」

 

富岡「443 hzだとちょうどいいね。」

 

﨑谷「そう。443 hzだとだいぶ柔軟になれる。僕が留学していた頃は、ハーモニーの一部になって、ちょっと消えすぎてしまう時とかが、あったのが、これは個人的なファーストとしての反省点として常にあったんです。そこでどのくらい浮き立たせて弾こうかな、というのが課題であって、ルーカス・ハーゲンさんはその辺がやはり上手いんです。常にちゃんとはめて行けるんだけど、ちゃんとメロディが浮き立つような音程感がとれる。それが僕はできていなかったんで。最近のほうが、それが柔軟にできるようになったきた。443 hzは、凄くやりやすい。」

 

﨑谷「ベルリン・フィルとかどうなんでしょう。」

 

──ベルリンは、444 hzと聞いたことがあります。アメリカは440とか低めだと。

 

富岡「ミュンヘン受ける前にアメリカの講習会で、ピアノの人と、クインテットを弾く機会があって、441 hzとか440 hzでした。当時、445 hzくらいで僕らやっていたので、半音下げたみたいな感覚でした。」

 

﨑谷「今割といいよね。自然に耳で聴いて合わせられるようになってきている感じがする。横溝君はそのあたり器用なので、最初合わなくても、やっているうちに合わせてくるんですよ。それができる人じゃないと厳しいと思う。」

 

──オケはピッチが上がるけれども、カルテットは当然上がる事は無い?

 

三原「基本的にはないですね。オケの場合、もしかしたら管楽器は倍音の関係でオクターヴを少し広くとりたくなるのかもしれません。」

 

﨑谷「単純に楽器が暖まってくると、管楽器は音程が上がりますからね。」

 

──管の人は、ソロを前の人のソロより絶対にピッチを低くは弾きたくない、だから確信犯的に高めに入ってくる。その繰り返しで、どんどんピッチが上がってくる、という話を聞いたことがあります。

 

﨑谷「少し高めの方が、煌びやかだからね。派手に聞こえるんです。だからジェラール・プーレ先生は、ピアノのAよりちょっと高めに調弦する、と言われていました。僕もずっとそうしていました。彼に習っていた頃は。でも、それはそれでいいんじゃないかな。ソリストとして弾くわけだから。」

 

──では、音程の正確さを追求する上では、カルテットが一番追求しやすいところでしょうね。

 

三原「そうでしょうね。」

 

﨑谷「仲間内で競争しちゃだめですよ。前のやつより高く弾くとか。」

 

横溝「カルテットの場合は、上に音程を外すと、凄く目立ちます。」

 

﨑谷「僕らみたいな音程の取り方だとそうなりますね。」

 

横溝「ハーモニーにある程度支配されますからね。」

 

──今後の計画としては

 

﨑谷「来年春からHAKUJU HALLでシリーズが始まります。それだけも3回違うプログラムで演奏会ができるのと、五重奏の本番があったりします。それが自分たちのやりたいことが実現できる場になればいいよね。あとは、違う楽器が入ったときにその人の良さ、とかいうのも、こっちでくみ取ってやるようなアンサンブルになると思うし、共演者も素晴らしい人ばかりですし。

 

クラリネットの金子平さん(読響)。彼は同じ時のミュンヘン・コンクールのクラリネット部門の3位。ザビーネ・マイヤーの弟子なんです。だから、僕らハーゲンの弟子だから、スタイルとして近いものがあると思う。

 

あとは、ヴィオラの鈴木康浩さん(読響)との共演で、ブラームスとかモーツァルトを演奏します。」

 

──このコンサートに来てくださる聴衆に。

 

富岡「横溝が復帰して、最初の大きいコンサートを、紀尾井ホールで出来て、本当に嬉しく思います。留学して勉強したこともそうですが、みんなで試行錯誤して、僕たちだけの演奏を、いいアンサンブルでお聴かせできればいいなと思います。」

 

横溝「他にないカルテット、そうありたいと思いますし、そういう演奏ができればな、と思います。紀尾井ホールという日本有数の室内楽ホールで、演奏する機会をこんなに早くいただけるとは思っていなかったんで、本当に光栄なことですし、僕らもしっかり準備していますので、今の僕たちにできる演奏を最大限お見せできたら、と思いますので、そこを楽しみに来ていただけたらと思います。」

 

三原「本当にどの曲も美しいし、もの凄くエネルギーのある曲です。紀尾井ホールに、是非聴きにきていただきたいな、と思います。」

 

﨑谷「本当に、夢みたいなことなので、紀尾井ホールでウェールズ弦楽四重奏団を弾くことは。何年もかかって、やっと来ることができたので。僕はカルテット命がけで弾いているので、その命がけを楽しんでいただければ、と思います。どんな仕事も100パーセントやるんだけれども、ウェールズは本当に命がけでやってきましたから。それは引き続きやっていきたいと思います。」

 

 

 

文/青木日出男 写真/向後由美

 

 

 

 

 

 

 

<クァルテットの饗宴2013> ウェールズ弦楽四重奏団

 

2013年10月18日(金) 

開場:紀尾井ホール

開演:19時

 

ハイドン:弦楽四重奏曲第1番変ロ長調Op.1-1「狩」

ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロツェル・ソナタ」

シューベルト:弦楽四重奏曲第15番ト長調D887

≪単券チケット≫

S席 4,000円

A席 2,000円

学生A席 1,500円

≪チケットお取り扱い≫

紀尾井ホールチケットセンター 03-3237-0061

(10時~18時/日・祝休)

http://tvumd.com/artist/detail/?artist_code=verus_q
 

インタヴュー

ウェールズ弦楽四重奏団

いまだかつてない弦楽四重奏団をめざして

ウェールズ弦楽四重奏団

Verus  String  Quartet

 

﨑谷直人  ヴァイオリン

Naoto Sakiya, violin 

三原久遠  ヴァイオリン

Hisao Mihara, violin 

横溝耕一  ヴィオラ

Koichi Yokomizo, viola 

富岡廉太郎  チェロ

Rentaro Tomioka, cello

 

桐朋学園の学生により2006年に結成。軽井沢八月祭、宮崎国際音楽祭、プロジェクトQ、JTが育てるアンサンブルシリーズ他、国内の多数の演奏会、音楽祭に参加。2008年ミュンヘンARD国際音楽コンクールにて第3位、日本人の団体として東京クヮルテット以来38年ぶりの入賞を果たす。2009年日本音楽財団の協力で王子ホールにて正式なデビュー公演を行う。原田幸一郎、東京クヮルテットのメンバー等から指導を受ける。

 

2010年春より拠点をスイス・バーゼルに移し、バーゼル音楽院にてライナー・シュミット(ハーゲン四重奏団)のもとで研鑽を積む。南仏ボニユー音楽祭、ドイツ・ヴェストヴェーク現代音楽シリーズ、ドイツ・ボイゲン城でのコンサートへの出演など、ヨーロッパでも活動の場を広げている。2010年ボザール・トリオの創設者メナヘム・プレスラーと共演、京都青山音楽賞受賞。2011年バーゼル・オーケストラ協会(BOG)コンクールにて"エクゼコー"賞受賞、第7回大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門第3位。2008、2010、2011年度、松尾学術振興財団より助成を受ける。

 

2012年6月バーゼル音楽院を終了し、2013年2月より拠点を日本に活動。3月東京・春・音楽祭に出演。4月にはHakuju Hallにて行われた藤倉大の個展にて弦楽四重奏曲第2番「フレア」(2010)を演奏し好評を博す。さらに10月には紀尾井ホール主催公演にて本格的なリサイタルを予定している。2014年2月には、2008年同じくミュンヘンARD国際音楽コンクールで第3位入賞のクラリネットの金子平との共演も予定されている。2014年春からはHakuju Hallにて新シリーズを計画中。

日本の若手の弦楽四重奏団のホープとして人気実力とも、トップの団体の一つとして活躍している「ウェールズ弦楽四重奏団」が、第三期のメンバーとしては初めての大きなコンサートを行なう。(10月18日、紀尾井ホール)

 

それを前にウェールズ弦楽四重奏団の皆さんにウェールズの高い理想をうかがった。

 

 

© 2014 by アッコルド出版

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