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キム・ダミ(Dami Kim)さんに

ストラディヴァリウス1731年「ロマノフ」が貸与される

── 宗次コレクション楽器貸与式

8月9日(金)、ヴァイオリニストのキム・ダミさんに、宗次德二氏(NPOイエロー・エンジェル理事長、宗次ホール代表、カレーハウスCoCo壱番屋創業者、株式会社 壱番屋 創業者特別顧問)より、宗次コレクション楽器の一つであるストラディヴァリウス1731年「ロマノフ」が貸与された。
(於:東京代々木・サロンデュオ)

第3回宗次エンジェル・ヴァイオリン・コンクール優勝のキム・ダミさんへ、次のストラド

 
韓国出身のキム・ダミさんは、第3回宗次エンジェルヴァイオリンコンクールで優勝。その時、正賞である、ストラディヴァリウス「レインヴィル」が二年間貸与されたのであるが、今年の3月に行なわれた第4回のコンクールにあたり、ストラディヴァリウス「レインヴィル」を返上。すでにハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールで優勝するなど、ますますの活躍を展開するキム・ダミさんに、宗次氏の強い意向により、新たな楽器の貸与となり、その貸与式が、一般財団法人Classic for Japanの下、行なわれたのである。
 
宗次氏から今回の貸与の経緯が語られた。
 
宗次「この日を迎えたことに私はキム・ダミさん以上に嬉しいです。第3回の宗次エンジェルヴァイオリンコンクールで優勝され、ストラディヴァリウス「レインヴィル」が貸与されました。2年後の今年3月の第4回のコンクールでお返しいただいたわけですが、私の気持ちとしては、キム・ダミさんのご活躍を見るにつけ、なんとしても私共のヴァイオリンを使っていただきたい、と思いました。
 
ますます素晴らしい演奏家に育っていくという予感、期待感があります。キム・ダミさんに相応しい名器を探しますから、ということをお話ししました。そして今日、貸与の日を迎えることができました。本当に嬉しく思います。ますますご活躍いただいて、ずっと使っていただきたい、そういう気持ちでおります。
 
音楽は国境がない、世界共通言語、という言われ方をしますが、正にそのとおりで、素晴らしい音楽に多少なりとも私自身が関われることを本当に嬉しいと、いつも思っています。今日もまたそういう一日になりました。」
 
貸与の契約のサインが交わされ、ストラディヴァリウス1731年「ロマノフ」が、宗次氏よりキム・ダミさんへ贈られ、ヴァイオリン・ドクターの中澤宗幸氏より、楽器の解説がなされた。
 
中澤「1731年制作のこの作品は、ストラディヴァリが亡くなる6年前のものです。ストラディヴァリは、アマティの下で修行し、初期の頃は、アマティの蕩けるような甘い音色が特徴だったのですが、ストラディヴァリは、その後、さらにパワーを持った楽器を制作してゆくのですね。
 
そして中期、全盛期を経て、晩年期となると、彼は、アマティが持っていた甘い音色を求めてまた、初期の方に戻るわけです。そしてその後、最後に仕上げたものが、初期の甘い音色と黄金期の人を寄せ付けないような力強さ、その二つを兼ね備えたものとなった、そのように私は理解しています。ですから、私自身は、本当の黄金期はむしろ晩年にあったのではないか、と思っています。ロマノフは、そのような名器です。
 
この楽器を宗次さんがコレクションの一つに加えてくださいました。この楽器は、1700年代中頃の宮廷革命の前までは、ロマノフ王朝の手にありました。その後、王族の一人がこの楽器を持って国外脱出をしてパリへ行きました。その後、フランス革命で、このヴァイオリンが行方不明になったのですが、その後見つかり、それが後に回りまわって、遂に宗次さんの下に来たわけです。
 
宗次さんは、若い優秀な演奏家のために惜しげも無く貸与してくださいます。こういう方がいて、芸術家が育っていく、本当に嬉しいことです。有り難うございます。」
 
現在、宗次コレクションには29台の名器があり、その中で、この「ロマノフ」は、5台目のストラディヴァリウスである。
 
キム・ダミさんの記念演奏では、カルメン幻想曲(サラサーテ)、シンドラーのリスト(ジョン・ウィリアムス)の2曲が演奏された。
まだロマノフに触って、さほど時間も経っていないのに、いきなりのパワー全開。
 
特にカルメン幻想曲は、ともすると難しさだけが印象に残る演奏が多い中で、彼女の演奏は、カルメンの原曲のイメージをそのままに、超絶技巧も披露するという、正にヴィルトゥオーゾ、キミ・ダミさんの実力を証明するかのような演奏だった。
 
キム・ダミ「第3回の宗次エンジェル・ヴァイオリン・コンクールで優勝して以来、このように名器を演奏する機会を得、また、この数年様々な経験を積むことができたことに大変感謝しています。と同時に、名器を弾くことに責任も感じています。なお、いっそう励んでいきたいと思っています。」
キム・ダミさんは、10月には、ドイツに亘ってさらに研鑽を積む。

キム・ダミさんと宗次德二氏

ストラディヴァリウス1731年「ロマノフ」

貸与の契約のサインの後、固い握手

中澤宗幸氏は、津波ヴァイオリンを製作。千の音色でつなぐ絆コンサートで弾き継がれている。

お父様と。

記念演奏。(Pf.横田知佳さん)

祝福に駆けつけた方々と。

次代を担う若手ヴァイオリニスト

岡本誠司さん、寺下真理子さんらも。

© 2014 by アッコルド出版

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