インタヴュー
「楽しく音楽ができるのは、サポーターのおかげです。」
ーー ヴァイオリニスト めかる(銘苅麻野)
CD「カラフル」リリース
発売記念コンサート 8月14日(水)JZ Brat
めかる・あさの(ヴァイオリン)
沖縄県出身。 2002年に上京し、2006年音大を卒業。現在、東京を拠点にストリングス・アレンジ、ライブ・サポート、レコーディング、ストリングス・アレンジ、作詞、作曲などの活動をする。自作のインストバンド「めかる」での活動も。
自ら作曲したインストゥルメンタルのソロ活動をゆったりと開始。 シングル「あめのちはれ」を発売。2012年1stアルバム「つながり」をリリース。タワーレコード那覇店インディーズ週間チャート1位。沖縄国際アジア音楽祭オープニングアクト、タワーレコード新宿店、那覇店インストアライブ、環境省主催Eco life fair 2012@代々木公園野外音楽堂に出演。故郷沖縄にてワンマンライブを桜坂劇場ホールAにて開催。
2ndシングル「2012.なつ」(自作漫画入り)を限定発売。今年2013年7月には、2ndアルバム「カラフル」リリース。来たる8月14日(水)渋谷東急セルリアンタワー内「jz brat」にて発売記念コンサート決定。
愛猫ぶぶちゃん(ブリティッシュショートヘアー)と暮らす。 好きな食べ物はチャーハン、炭水化物。 子どもの頃なりたかった職業は、ラジオのDJ。
めかる(Vn)「カラフル」
1.Summer lights 2.スニーカー 3.カラフル 4.Autumn waltz 5.風のかなた 6.winter town 7.こえ 8.Spring tale 9.Starting Over 10.うちなー
定価:2,100円(税込)HRCD-49
http://astore.amazon.co.jp/happinessreco-22/detail/B00CL1BJKG
めかるオフィシャルブログ http://profile.ameba.jp/asanomekaru/
【めかる 2ndアルバム『カラフル』発売記念コンサート】
日時:8月14日(水)
Open 17:30 Start 19:30(120分ステージ、休憩あり)
会場:JZ Brat SOUND OF TOKYO
出演:めかる(Vn)、ローズ高野(p)、設楽博臣(g)、
村岡俊介(b)、U(ds)、銘苅盛通(tp)、
物井光太郎(sax)、野津真亮(cello)、
タリエ(vo/from harmonic hammock)、樽木栄一郎(vo)
チケット:予約¥3,000 当日¥3,500
詳細・申込み:http://www.jzbrat.com
フェイスブック・イベントページ:
https://www.facebook.com/events/496950143723079/
ストリングス・アレンジ、ボーカリスト等のライヴ・サポート、作詞、作曲などの活動をする「めかる」こと、銘苅麻野さんが、2ndアルバムをリリース。今月14日には、アルバムの発売を記念して、コンサートを行なう。
CDのお話を中心に、クラシックからポップスの演奏を行なうようになった経緯などをうかがった。
ヴァイオリンをはじめたころは・・・
「私は沖縄の出身なのですが、母が地元のジュニア・オーケストラの演奏に感動して、『あなたもやってみる?』と私に訊ねてきたんです。それで、私は『やりたい』と答えて、そのジュニア・オケに入りました。それがヴァイオリンを始めたきっかけです。
ヴァイオリンを習い始めた小学校低学年の頃は、枝と弦(つる)とで弓矢を作って遊んだり、蛇の卵を見つけてきたり、野山を駆け回っていました(笑)。
最初に師事した先生は、ジュニア・オケで指導されていた先生で、とても優しい先生でした。レッスンも楽しくて、特に印象に残っているのは、コピーした楽譜にクレヨンで色づけしていたことです。おそらく曲のイメージを強くするためだったのだと思います。色づけは、大人になってからも密かに続けていました。
その後、地元の先生の紹介で東京のレッスンに通うようになりました。小学校高学年の頃のことです。でも、私は落ちこぼれで、ヴァイオリンをやめようと思ったことが何度もありました。
でも、ジュニア・オーケストラの先輩が『今やめたら、絶対に後悔するよ!』と、とめてくれて・・・。ヴァイオリンをやめることに関しては、母も同意してくれていましたから、あの一言がなければ多分やめていたと思います。良い先輩に恵まれたからこそ、今まで続けてこられたのだと思っています。」
音楽高校、音楽大学へ進学
「音楽高校で師事した先生は、『音楽が好き!』というのが全身から溢れているような先生でした。よく、好きなものや、興味のあることの話題になると、目を輝かせて話す方がいらっしゃいますが、音楽の話をする先生はキラキラ輝いていました。
私も先生みたいに音楽を好きになりたい、と思い始めた頃から、音楽に接すること、ヴァイオリンを弾くことが楽しくなってきました。
音大進学は自然な流れで?
「音楽高校でしたから、音大への進学はずっと意識していました。それに、兄がトランペットで音大を目指していたので、その影響もありましたね。」
――音大在学中は、どのような学生生活を?
「沖縄から東京に出てきて音大に通い始めた頃は、すごく巧い同級生がたくさんいて『わ~、なんてところに来てしまったんだ』と思いました(笑)。ですから、学校の練習室ではミュートをつけて、こっそりと練習したりしていたんです。練習室は、隣の音が少し聞こえるので。
でもあるとき、楽譜の色塗りじゃないですが、私は私で、今ある自分と正面から向き合って、自分のカラーをしっかりと持って練習しよう、と思えるようになったんです。
今でも、私などがヴァイオリンを弾いていて良いのかなぁ?と思うこともありますが、まずは、ごく身近な両親や友達が、私のヴァイオリンで、楽しくなったり、気分が少しでも明るくなると良いなぁ、という思いで、曲をつくったり、ライヴをしたりしています。」
――卒業後は?
「音楽教室でヴァイオリンを教える仕事をしながら、最初は、ギターとチェロと一緒にショーロを弾くユニットに誘われて、その三人で歌のサポートをしたりしていました。
実はその活動を行なっていたときに、もう一度、集中してクラシックを勉強しないとダメだな、と心底感じて、基礎を教えてくださる先生に師事し、1年間レッスンに通い勉強し直しました。今でも、先生の時間があるときに見ていただいています。
その後、もう一度ポップスに戻って、ライヴハウスで活動されているシンガーソングライターをサポートする仕事などをやっていました。それと同時に、自分のオリジナルも書くようになっていきました。」
――クラシック以外のジャンルを演奏するようになった、何かきっかけがあったのですか?
「元々クラシック以外の音楽も好きで、例えば、中学生の頃は、アラニス・モリセットが大好きでよく聴いていました。
それから、高校生の頃、友達からラカトシュのCDを聴かせてもらったことがあり、格好良い!!と思いました。そのアルバムの最後にステファン・グラッペリに捧ぐ『ミスターグラッペリ』という曲があり、そのCDを聴いた翌日に、ステファン・グラッペリのCDを買いに行ったんです。初めて聴くステファン・グラッペリは衝撃的でした。
それで今度は、グラッペリと共演していたジャンゴのCDを買いに行き・・・。そのように繋がっていきました。」
初めてのコード譜に唖然
「音大を卒業して2年くらい経ったときに、初めてコード譜を渡されて『適当に弾いて』と言われたんです。適当と言われても、そんなことやったことがなかったので、その時は驚きました。
これは、ボーカルをピアノとヴァイオリンとでサポートする、お仕事だったのですが、その場でアドリブで弾くことが出来なかったので、自宅に帰って、自分の弾くパートをこつこつと書いて、リハーサルへ向かいました。
ボーカルはこの音で、ピアノはこの音で、ではヴァイオリンは?というように、1音1音考えながら、作っていました(笑)。」
――まるで和声の宿題みたい(笑)。
そこから、どのように克服していったのですか?
「最初はどのように勉強したら良いのかさえ分からなかったので、まずはいろんな方から勉強の仕方を教えていただきました。その時に一緒に弾いていたピアニスト、ギタリスト、ベーシスト・・・。様々な楽器の方に教えていただきました。
ただ音を並べるだけではなく、どんなふうにアプローチしたら、ボーカルが気持ちよく歌えるか、そしてより相手に伝わるか。
ヴァイオリンがあからさまに目立ってしまうと、歌詞がお客様に伝わらなくなってしまうので、それをどのようにサポートしたら良いのか、ということですね。そういったことを教えていただきながら勉強しました。
そういった経験を積んで、自分で曲を書くようになったのは、それからですね。」
――私の主観ですが、ポップスは割とかための音で演奏することが多いように感じるので、音程に関してシビアな面があるのではないかと思うのですが・・・
「必ずしもそうとは言い切れないのですが、正直なところ、昔は音程のことなど特に意識して考えたことがなかったんです。でも、ポップスはピッチが441だったら、441を確実に鳴らすことを要求されます。
441のことが多いのですが、場合によってピッチが多少異なることもあり、それに順応できていないと厳しいですね。高いとか、低いとか、言われてしまう。そういったところがとてもシビアなんです。」
――441には、すぐに慣れましたか?
「最初は弾きにくかったです。チューナーをつけっぱなしにして、441の高さを覚える練習をしました。やはりそのピッチの雰囲気、というのがあるので。実はこれに関しては、今も勉強中なんです。まだまだ練習が必要だな、と感じています。」
「カラフル」
――普段、どのようなシチュエーションで作曲されるのですか?
「リラックスしているときに鼻歌を歌って、それを録音しておき譜面に起こしたり、ピアノで遊んでいるときに、良いコード進行だな、と思ったら、それを展開させていったりします。
どういった雰囲気の曲を作るかテーマを決めて、それにそって作っていくこともあります。」
――今回リリースしたCDはどのようなコンセプトで?
「今回は書いてもらった曲が多いのですが、最初に、スプリング・テール『春が来た!』といった感じの曲を書いていただいたんですね。それで、『春』があるのだったら、春夏秋冬をテーマにしたアルバムにしよう、と。
『春夏秋冬』各々の曲が揃うと色彩豊かになるので『カラフル』というタイトルにして、元気が出るような、明るいイメージで作りました。」
――銘苅さんご自身から、一押しの曲は?
「どれもオススメなのですが(笑)、沖縄の旋律を使って作った『うちなー』は、ぜひ聴いていただきたいです。沖縄の方言で『沖縄』という意味です。
いつもは、帰省してもあまり長く滞在することが出来ないこともあるのですが、たまたま2週間沖縄で過ごすことができたときに、沖縄は時間の流れがゆ~っくりで良いなぁ~、と思い、この曲はそんな気持ちで作りました。」
JZ Bratで、ライヴ
ーー銘苅さんのライヴは、トークも楽しいです。
「トークはいつも緊張するんです。演奏だけに集中できれば良いのに、といつも思うんです。」
ーーそれは意外です。
「調子が良いときはすごく喋る・・・(笑)。」
ーーやはり会場のノリで、トークも変わる?
「そうですね。お客様の雰囲気で、楽しくなると、ついつい話しすぎてしまいます。」
ーー8月14日のライヴも楽しみです。
「今回のCDは一緒に演奏している仲間と楽しく演奏できたら良いなという気持ちで作りました。『仲間と楽しく音楽したい!』という活動が、今回のように少しずつ広がって、ひとりでも多くの方々に気に入ってもらえたら、嬉しいです。
心強いサポーターがいると、実現不可能だと思っていたことも、もしかしたら出来るのでは?といった気分になります。ですから、いつも応援してくださっている皆さんには心から感謝しています。
今回のライヴも、楽しい雰囲気になると良いです。」
取材/向後由美