ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭 2013

〜パリ、至福の時〜

ゴールデンウィークの風物詩ともなったラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭 2013は、5月3日(金・祝)〜5日(日)に開催され、のべ51万人が来場しました。
編集部では、5月4日に取材。その模様をレポートします。

期間中、有料・無料、多数のコンサートが行なわれましたが、まずは有料コンサートから。 有料コンサートは、1公演・約45分で、朝10時からスタート。7つの会場で同時並行的に行なわれました。最終は23時前後とかなり遅い時間まで行なわれました。

編集部では「ホールC」で、朝10時から行なわれたチェリスト宮田大さん、香港シンフォニエッタの演奏を拝聴。指揮は2002年から香港シンフォニエッタの音楽監督を務めるイプ・ウィンシー氏でした。  
曲目はラヴェル「クープランの墓」、フォーレ「エレジー op.24(チェロとオーケストラのための)」、サン=サーンス「チェロ協奏曲 第1番 イ短調 op.33」の3曲。45分という通常の半分の長さのコンサートですが、聴き応えのあるプログラムでした。時間が短いだけに、チケット料金もS席=3000円、A席=2500円とリーズナブル。これもこの音楽祭の魅力のひとつです。

このコンサートはチケットが早々に完売し、当日客席は満席でした。香港シンフォニエッタの澄んだ音色と迫力のある演奏に、宮田さんの力強いチェロがマッチし、素晴らしいコンサートでした。

(C)三浦興一

ランチ・タイムをはさんで、午後は展示ホールへ(有料チケットの半券で入場)。このホールには中央に舞台が設けられ、無料のコンサートが多数行なわれています。写真はイズミノーツ(千代田区立和泉小学校ビック・バンド・クラブ)による演奏です。

その他、展示ホール内に出展された楽器店等のブースでも、各々イベントが開催されました。こちらの写真は、松尾弦楽器のブース内で行なわれたヴァイオリニスト浦川宜也氏のライヴの模様です。1732年製グァルネリ・デル・ジェスでオネゲル「無伴奏ソナタ」が演奏されました。

チケットは前売りで完売しているものもありましたが、会場内にもチケットカウンターが設けられ、当日券を購入することもできました。また、チケットカウンターの近くには「ソムリエカウンター」が設けられ、クラシック音楽の専門家が待機。写真は音楽評論家の柴田克彦さんです。

こちらは、丸ビル1階 マルキューブでのコンサートです。

取材・写真:向後

取材協力・写真提供:東京国際フォーラム

詳細は、オフィシャルサイトをご覧ください。 http://www.lfj.jp/lfj_2013/

ここからは、丸の内エリアでのイヴェントです。

こちらの写真は、iiyo!!地下1階フリースペースで行なわれたBloom Quartet&Ensembleメンバーによるヴァイオリン・デュオ(向かって左から武田 知奈津さんと中川芙美さん)の演奏です。

たくさんの人が詰めかけ、後方では演奏している様子をあまり見ることができませんでしたが、ヴァイオリンの心地よい音色がフロアーに響きわたっていました。

こちらはチェリスト、ロラン・ピドゥ氏のマスタークラスの模様です。マスタークラスは毎年人気の企画で、整理券は早々に配布が終了していました。

終了後、チェリスト、ロラン・ピドゥ氏にお話をうかがいました。


──マスタークラスを終えての感想を。
 「ちょうどマスタークラスを終えたばかりです(受講生=チェロ:黒川 実咲さん ピアノ:古田 友哉さん)。若い方が素晴らしい演奏をするのを発見したことを嬉しく思っています。楽器演奏の上でとてもハイレベルのところに達していると思います。とても音楽的だと思います。
 特にドビュッシーの演奏ということでレッスンしましたが(取材にうかがった回)、理解が早いというか、理解しようとする反射神経が素晴らしいと思いました。その場で、どんどん受け止めて、変えていこうという反応の良さがすてきでした。正に知性のなせる業です。
 演奏のテクニックに関しても鍛錬を積んだ方だという証明だったと思います。アドヴァイスをぱっと受け止めて消化し、反応するというのは、それまでの訓練の証です。」



──ドビュッシーとラフマニノフの違いを言われていましたが、案外、一般的に、演奏において、ドビュッシーがラフマニノフ的になるようなこともあるように思いました。
 「正にそこにこそ難しさがあると思います。そこでこそ、ふだん先生が目を光らせるべきでしょう。技巧的なところは、チェロの演奏レベルというのは、一般的に大変ハイレベルになってきたと思います。
 様式をどのように捉えるか、ということで、正にそのとき、自分が演奏している作品の作曲家が、音楽史全体の中で、どのように填まっているのか、そのような意識をバランス良く持っていることが大切です。
 そして、生徒のチェリストたちには、チェロ以外のものをどんどん聴きに行こう、と言っています。シンフォニー、オペラ、歌曲、ありとあらゆるものですね。そして、自分自身の意見、というものをそのような行為をすることによって探し作る、そうすると、様式感というものが自然に自分なりに見えてくるはずです。」



──日本の印象は?
 「まず、日本に来ることが大好きです。正確に言いますと、まず音楽のことです。とても知性を皆さん、持っておられます。何か、こちらから言葉を投げかけると、受け止めてもらいたいものに、すぐに反応してくださる。そのような感性を持っておられる。
 もっと全般的に言うと、もちろん、私は日本にそんなに長く過ごしたわけではないですが、国民性が勤勉であるということはもちろんですが、意識の持ち方が高いと思います。非常に私たちには、感銘を受けるところです。」

(インタヴュアー:青木日出男 通訳:藤本優子)

【期間中に行なわれたマスタークラス】
 ・デボラ・ネムタヌ(ヴァイオリン)
 ・ファニー・クラマジラン(ヴァイオリン)
 ・フランソワ・サルク(チェロ)
 ・ロラン・ピドゥ(チェロ)
 ・フィリップ・ピエルロ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ・野原みどり(ピアノ)
 ・海老彰子(ピアノ)
 ・ルイス・フェルナンド・ペレス(ピアノ)
 ・ジャン=フランソワ・エッセール(ピアノ)
 ・フィリップ・カサール(ピアノ)
 ・マリー=カトリーヌ・ジロー(ピアノ)
 ・ジャン=フランソワ・エッセール(ピアノ)
  (順不同)

受講生の黒川 実咲さん(チェロ)、古田 友哉さん(ピアノ)。

黒川:先生は、とても優しくて気さくで、分かりやすく指導をしてくださいました。短い時間でしたが、全楽章みていただけたのも良かったです。
レッスン中、実際に先生が弾いてくださったのですが、音の密度が濃く、しっかりとした音色でした。
また、テンポ感の指摘、ボウイングとフィンガリングのアドバイスをしていただきました。
ドビュッシーの構成力について、改めて考えさせられました。
フランス人の先生にドビュッシーのレッスンをしていただけたことは大変為になりました。

 

古田:ドビュッシーのチェロソナタ、そしてフランス音楽に対するイメージが変わりました。どちらかというとぼんやりして宙に浮いたイメージがありましたが、その大きな枠の中に恐ろしく細かいニュアンス(スタッカートの鋭さやアッチェレランドのかけかた)があることを教えていただきました。
ポルタメントを極力しないことやボウイングについてなど、ピアニストにとっても参考になることが多かったです。
たくさんのお客様が聴いてくださり(満席でした)、いい緊張感を感じながら楽しむことができました。

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