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"Follow The Light"
ヴィオラ奏者 安達真理

 

第23回「アッコルド・コラム最終回」

Mari Adachi, Vla

 

東京生まれ。4歳よりヴァイオリンを始める。

桐朋学園大学在学中にヴィオラに転向。卒業後、同大学研究生修了。

2009年よりオーストリア、ウィーンに渡る。ウィーン国立音楽大学室内楽科を経て、2013年スイス、ローザンヌ高等音楽院修士課程を最高点で修了。

2015年、同音楽院ソリスト修士課程を修了。

2013年よりオーストリアの古都インスブルックのインスブルック交響楽団にて2年間副首席ヴィオラ奏者を務め、2015年夏帰国。

 

現在はソロ・室内楽奏者としての活動を中心に、

仙台フィルハーモニー交響楽団の首席奏者として客演、

弦楽器・クラシック音楽webマガジン「Web アッコルド(a-cordes.com)」のコラムを執筆するなど、活躍の場を広げている。

 

2005年霧島国際音楽祭にて特別奨励賞、優秀演奏賞受賞。

第6回大阪国際音楽コンクールアンサンブル部門第1位およびラヴェル賞受賞。 2010、2011、2013年とセンメリンクでのウィーン国立音楽大学国際夏期アカデミーにおける全弦楽器を対象とするコンクールにてソリスト賞を受賞。

2011年バーデンバーデンのカール・フレッシュアカデミーにて、バーデンバーデン管弦楽交響楽団とバルトークのヴィオラ協奏曲を共演、特別賞を受賞。

2011年よりカメラータ・デ・ローザンヌのメンバーとして、ピエール・アモイヤル氏と共に、スイス、フランス、トルコ、ロシアの各地で多数の公演を行う。

またこれまでにアライアンス・カルテット、ルーキス・カルテットのメンバーとしてオーストリア、ハンガリーを中心に公演を行う。

 

2014年、バンベルク交響楽団にて首席ヴィオラ奏者として客演。

2015年、ローザンヌ室内管弦楽団とマルティヌーのラプソディー協奏曲を共演。

同年夏、モントルージャズフェスティバルに出演。

 

クラシック音楽のみならず、幅広いジャンルで活躍。 世界的なヴェルビエ国際音楽祭にて、アマチュアの人たちの室内楽のレッスンにあたるなど、指導者としても活動を始めている。 ヴァイオリンを篠崎功子氏、ヴィオラを店村眞積氏、ジークフリード・フューリンガー氏、今井信子氏、ギラッド・カルニ氏、室内楽を、東京カルテット、ヨハネス・マイスル氏に師事。その他国内外にて多数のマスタークラスを受講。

 

http://www.mariadachi.com

 

https://twitter.com/AdachiViola

 

https://www.facebook.com/mari.adachi.viola

 

聡明な解釈と美しい音による豊かな表現。彼女はアーティスティックな才能を持っている。』

——ギラッド・カルニ(ローザンヌ高等音楽院教授、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団首席ヴィオラ奏者)

リサイタルの興奮冷めやらぬままヨーロッパへ飛び立ち、音楽漬けの濃密な日々を送り、あっという間に7月が終わろうとしている。ありがたいばかりである。

 

エストニアで開催されたパルヌ音楽祭(http://www.parnumusicfestival.ee)に参加し、世界中の素晴らしい音楽家たち、その周りに集う素晴らしい人々にたくさんインスパイアされ、帰ってきた。また、道中懐かしのウィーンにも少しだけ立ち寄る時間があり、大好きな人たちに会ってきた。

 

一年ぶりのヨーロッパは、住んでいる時とも、一時帰国して帰った時とも、ちょっと違う感じがした。でもそれは、今の私を勇気づけ信頼し、前へと進ませる、優しさと力強さのようなものだった。

 

パルヌ音楽祭の最後の演奏会は、ニースの事件翌日だった。はち切れんばかりの歓声の中、我々はアンコールにシベリウスの「悲しいワルツ」を演奏した。演奏後、指揮のパーヴォ・ヤルヴィ氏はしばらくタクトを下ろさなかった。30秒くらいだったかもしれないし、3分くらいだったかもしれない。会場が静寂と共に、何とも言えない清らかな哀しみに包まれた。静かにタクトが下ろされ、我々も楽器を下ろした。すると、満場の人々が静かに立ち上がり、あたたかな拍手が、泉から湧く清流のように起こった。その場にいられたことに深く深く感謝した。こみ上げてくる涙、想いを、共演者たちとハグをしながら共有した。音楽の力をまた強く感じることのできた瞬間だった。

 

さて、この一年近く、アッコルドのコラムを通して、言葉で私の想いや考えを皆さまにお伝えできる手段を持てたことをとても幸せに思う。今後、新たなコンテンツへと移行するため、この場でのこのような形でのコラムは今回の第23回で最終回となる。移行後の詳細は、オフィシャルサイトを始め、その他SNSでもご案内する予定だ。

今まで読んでくださった方々、あたたかい応援のメッセージやコメントをくださった皆さまに深くお礼を申し上げたい。これからも、音楽の力を信じ続け、音楽にできること、我々にできること、私にできることを追求していこうと思う。

 

ありがとうございました!

スタンディングオベーションの中、歓声に応えるエストニアン・フェスティバル・オーケストラの様子(ポニーテールをした小さな私も舞台上にいます)

Photo by Kaupo Kikkas(http://www.kaupokikkas.com)

© 2014 by アッコルド出版

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