top of page

ハーピストSANAEのハープ革命

第24回 「ブラスのなかのハープ」

こんにちは。すっかり過ごしやすくなって

秋の気配が感じられるようになりました。

 

さて今回は「ブラスのなかのハープ」。

ええ?ここは弦楽器マガジン・アッコルドですよ~笑

 

しかし、まずコントラバスがブラスに参加して

ここ最近はハープがブラスバンドに入っていることは

プロのみならず、アマチュアブラスでも珍しくなくなりました。

 

私もこの夏は、

日本でもっとも古いすてきなジャズビッグバンドの

「宮間利之とニューハード」のみなさまとお仕事しましたし、

なにせ、ハープを始めたきっかけが

私はブラスバンドだったのです。

 

夏はアマチュアの吹奏楽コンクールの時期であり、

野球でいうところの甲子園ですね、

これは秋の全国大会まで続きます。

全国へすすむ学生さんは少し参考になりましたら、

そして残念ながら予選突破ならなかった学校のみなさまは

卒業生を送り出すコンサートがあるかもしれませんので、

そちらの参考になりました。

 

フルオーケストラをイメージしてみましょう。

ヴァイオリンが2パート、ヴィオラにチェロにコントラバス、

あれだけの人数がトゥッティで存在するのに対し、

木管楽器も金管楽器も

1st、2ndも、3rdパートも各パート一人ずつです。

 

それでも、弦楽器がサウンドを奏でているなかに

木管楽器が2~3人でも入って来ると

「あ!管楽器キタ!」と誰もがわかります。

 

それだけ存在感があり、特長のある音質や

重音が一切無いのにひとつひとつが大きな音量である

ブラスサウンドの中でハープを際立たせるのは大変です。

 

オーケストラ曲、オペラ曲を演奏することも多い

いまのブラスバンド、

ハープの登場するシーンはなんとなーくパターンがあります。

 

・不思議や感じや、魔法のシーン

(魔法使いの弟子、ダフニスとクロエ、火の鳥イントロダクションなど)

・愛を語るシーン

(愛の妙薬、その他もろもろオペラに多い)

・死ぬシーン

(トリスタンとイゾルデなど、その他もろもろオペラに多い)

・お姫系シーン

(エルザの大聖堂への行列(ローエングリン)、シェヘラザード3楽章など)、

・間奏系

(カヴァレリア・ルスティカーナ、カルメン、アルルの女など)

・はかなさ、美しさ、華やかさなどのニュアンス

(美しき青きドナウ、白鳥の湖など)

 

などなど。

ブラスバンドでは特に抜粋で演奏することが多いので

名曲シーンメドレーになることも多いかもしれません。

 

アマチュアブラス等でハープをご経験のかたなら、

指がちぎれるほどに弾いているのに、

涼しい顔した指揮者の先生が

「ハープもっと大きく」

「もっともっと!」

等と鬼のようなことを言われて(笑)、

血豆を作ったという方は多いでしょう、、、

 

アマチュアハープ奏者のみなさん、

グリッサンドのやり過ぎで指の皮がやぶけるようなら

代理品を使っちゃいましょう!

 

グリッサンドでしたら

・ギターのピックのアレンジ

・消しゴム

などが代用できます。

 

ギターのピックは100円程度から売っているのですが、

そのままだとちょっと音が固すぎるので

布を巻きつけたり、工夫が必要です。

 

消しゴムはメーカーによって音が違います(笑)

砂消しなるものと、プラスティック消しゴムでも違うのです。

安価なので「これ!」という消しゴムを発掘する楽しみもできますし

どんな消しゴムでも、

割とすぐに指の音に近い音色で

爆音グリッサンドの再現が何度も可能。

 

しかしデメリットは

消しカスが共鳴板下に溜まりますので

おそうじが必要(笑)

 

またグリッサンドでなく、

和音や単音、アルペジオなどの部分は

音を立てて弾きましょう。

 

やわらかな音がイメージですが

それではどんなに一生懸命弾いても

クラリネット全員吹いてしまえば

印象は薄れて、小さな音は埋もれてしまいます。

 

聞こえないハープは存在意味がありません。

(たまにそういう曲もありますけれど)

ソロ楽器ですから。

 

指の角度をねかせず、

弦に対して指の角度をつけて弾いてみましょう。

音の立ち上がりが早くなり、

同じ音量でも存在感か増します。

 

ブラスのなかでハープを際立たせるには、

音量のみならず、

音質などの音の存在感が必要です。

 

ではでは、秋も音楽を楽しんでくださいませ☆

 

SANAE(ハープ奏者)

 

日本におけるエレクトリックハープの第一人者として、本邦初の立奏スタイルを採用し、これまでになかった斬新で革新的なハープサウンド、ステージ、新しい演奏テクニックをも生み出す新しい可能性を拓くハーピスト。

 

エレキハープ、エレアコ・ハープ、グランドハープ、レバーハープ、シングルアクションハープ等の様々な種類のハープを弾きこなす。

 

東京音楽大学出身、これまでにハープを篠崎史子、島崎節子、吉田みちこの各氏に師事。

 

最近では2012年ベトナムフェスティバル・メインステージへのソロ出演、2013年7月エレキハープでのライブアルバム「SANAE/SOUHAIT」をリリース。レコ発ライブツアーを東京ほか、全国で3公演開催。

 

現在、日本全国でソロ活動のほか、イベントやライブ、フェスティバル、メディア等への出演や、レコーディングなど、ポップス、ジャズ、ロック、エレクトロ、ダンスミュージックにソウル、映画音楽やクラシック、ミュージカル、民族音楽、ワークショップ講演など幅広く活動中。

 

2014年はFMやまと「大和でNANANA ハーピストSANAEのCome☆音!」番組パーソナリティ。

 

セカンドアルバムリリースの予定もされており、これまでになかったダイナミックで迫力ある斬新なハープの表現が注目を集めている。

© 2014 by アッコルド出版

bottom of page