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インタヴュー

高嶋ちさ子さんインタヴュー

 

12人のヴァイオリニストから……

 
――若手の女性ヴァイオリニストを育てる、という目的も12人のヴァイオリニストにあると、かつて仰っていたと思います。実際、松本蘭さんが、巣立ったわけですが、今どのような感慨がありますでしょうか?
 
「12人のヴァイオリニストを卒業して巣立ったわけですが、これから蘭ちゃんが、どのような道に行くのか。私の道とはまた別の道へ行くと思うので、凄く楽しみにしています。」
 
──松本さんが、めざましクラシックス4回の内2回を担当されるそうですが、巣立ったからこそ、彼女にそういう機会を?
 
「それももちろんあります。やっぱり定期的に演奏する場を作ることも大事だと思うんです。依頼が来るコンサートを待つというよりも、自分はこういうことができる、ということをプレゼンする場も重要だと思うので。
 
私もデビューしてすぐに『めざましクラシックス』があったことが、つまり自分をプレゼンできる場所があったことが、有り難かったから、蘭ちゃんにもそういう場所があるといいなと思ったし、それが、『めざクラ』だったらなおいいかな、と思って。でまた、そこで彼女が私とは違ったアプローチで、コンサートを作っていくことを覚えたら、いいんじゃないかな、と思う。」
 
──めざクラ自体も幅広いものになっていく
 
「そうですね。私自身、ますます忙しくなってきているので。」
 
──これからも卒業生がどんどん生まれる。
 
「私としてはそれを望んでいるのですが、アンサンブルを作るのが好きなメンバーが今凄く多くて、誰かがソロをとる、というよりも、アンサンブルを指揮者無しで自分たちで作っていく、ということに彼女たちは生きがいを感じているので、誰かがソロで巣立つ、ということは当面ないような気がします。」
 
──新しいメンバーをオーディションで募集されたとか。
 
「はい。今、どの子が加わるかは研修中なので、まだ分からないのですが。
 
12人のメンバーの中に1966カルテットというビートルズを中心に演奏しているカルテットのメンバーでもある松浦梨沙という子がいまして。彼女が忙しくなってきたため、12人のヴァイオリニストのステージに乗れないことも多くなってきたので、メンバーを補充する必要が出てきた、ということですね。
 
先日の「めざましクラシックスのステージ」でも冗談半分に言いましたけれど、銀座のホステスさんも新旧交代をすることでもお客様にとって新鮮に感じていただけるというる事もあると思うし、従来のメンバーにとっても、新しいメンバーが入ってくることによって、刺激される事が多いと思うんです。後輩を教育していくうちに自分達も学ぶことがありますし、新しい子と一緒にやって行くということが、また一段と大きくなるチャンスなのではないか、と皆が思っています。」

 

やっぱり、前田さん、凄いプロフェッショナル

 
──毎回いろいろな企画と趣向を凝らしていますが、今回、チューブの前田さんをゲストに招かれた経緯というのは?
 
「完全に私の趣味なんです。軽部さんと前田さんとはとても仲良しなので、前から軽部さんには頼んでいたのですが、やっと、5年越しで、という感じです。」
 
──ご一緒したくて仕方がなかった、と軽部さんがトークで言われていました。
 
「あの人は図々しいんですよ(笑)。
 
いくら友達でも前田さんほどの大スターとデュエットしたいなんて普通は言えませんよね。しかも、サントリーホールで。おまけに若干キーが高くて自分がハモれない、ということでキーまで下げさせたんですよ。自分に合わせて。
 
前田さん、優しすぎます。」
 
──前田さんと共演された感想を。
 
「やっぱりすごいプロフェッショナルな方だと思いました。それこそジャンルは全然違いますけれど、長年トップで活躍されている方の耳というのは、すごいなと思うことが共演中に何度もありました。いつもは、ドラムやベースがある中で、歌われている方ですから、そういったリズムセクションがない中で歌うことに不安もあったと思うのですが、現状で何とかしようとする、ベストを尽くそうとする姿勢と気持ちが手に取るように伝わってきました。
 
実際本番中にハプニングがあって、メドレーを歌っている時に、お客さんがすごく興奮してメドレーにもかかわらず拍手が来て、我々はモニターをつけているわけではないので、お互いの音が聞こえなくなってちょっとアンサンブルが乱れたところがあったんです。普通だったら、歌手が入れなくてもおかしくないような場面だったのですが、間髪いれずに立て直されたのですごいなぁと、思って。」
 
――全然気がつきませんでした
 
「良かったです。前田さんに申し訳ないと思いましたけれど、そういう時に動揺もせずできるというのは、やはり第一線は耳が違うよ、とすごく思いました。」
 
――彼は、裏声使わず、高い声へ。
 
「リハーサルの時に、おれ此処マイクいらないかも、とまず仰って、いや、行けると思いますよ、ほんとに。じゃあ、行っちゃおうかな、という感じだったんですけど。そうすると軽部さんがつらいじゃないですか。まぁ冗談半分だったかもしれません。小松さんのリハーサルの時から、客席に座って、ホールの鳴り具合や感じなどもちゃんとつかんで舞台に立っているということが凄い。やはり、トップを走りつづけているかたからは学ぶことが多いです。」
 
――今後も機会があれば。
 
「すごくやりたいですよ。本当に楽しかった。小松亮太さんとのコラボもすごく楽しかったですし、お客様にも楽しんでいただけたと思う。今度は、もっともっと突き詰めて、さらにタンゴの世界にどっぷり浸かって、小松塾に入門して、いろいろたたき込んでもらおうと思っています。小松さんの奥様が弾いているヴァイオリンは、やっぱりすごいタンゴの世界そのもので情熱的なんですよね。そういうものがもうちょっとご指導いただけたらなぁ、と心残りがあるので、また次リベンジしたい。」

 

サポートメンバーのおかげで

 
――ご自身が全体を仕切る。演奏以外にたくさんのことをしなければいけないのは、けっこう大変だと思いますが。
 
「そうですね。ただ音楽的に言えば、サポートメンバーが素晴らしいので、特に今野さんが音楽監督なので、私が安心して弾けるような音作りを常にしてくれて、キュー出しとかも、全部彼がやってくれているので、そういう意味では、すごく楽させてもらってますね。彼は手放せないです。
 
今、私と葉加瀬太郎さんとで、今野さんを取り合っているんです(笑)。取られないように必死なんですけどね。敵も早く押さえてくるんですよね。
 
彼は、ポップスの世界では、トップの技術と耳を持っているのですが、クラシックが好きですし、元々めざましクラシックスは、クラシックが基本、ということもあって、すごく勉強してきている。そういう思いをもってあのコンサートに挑んで来てくれているという事自体嬉しいです。」

 

軽部さんとつぎの日、反省会

 
――軽部さんとの楽しいトーク。よくご自身は毒舌と言われていますが、それはある程度計算されて?
 
「計算する時間がないほど、早く展開していくので、計算はしていません。ただ小松さんにも『お客様に嫌がられない、そこまで言うことないじゃない?と言われるぎりぎりのところを責めてくるよね』と言われたんですよ。」
 
――確かに。

 

「けど、あれは軽部さんとだからこそ許される。
私が何を言っても軽部さんが間髪入れずにフォローいれてくれるから成り立っているんだと思っています。家の親からも、誰とでもできることじゃないから軽部さんを大切にしなさいと、言われています。
 
毎回コンサートのあとは、次の日の朝、二時間半かけて最初から最後まで全部ビデオを観るんです。パン囓りながら、どうだった、ああだったとか言いながら。主に演奏を聴いているのですが、トークを聞くと、我ながらぎりぎりだなぁと思います(笑)。」
 
――高嶋さんが言われると、確かに許されるというか、思わず笑ってしまうんですね。いまだに印象深くて覚えているのが、震災の時のチャリティー・コンサートで、高嶋さんは、外国人の中で、とっとと帰った人がいて…云々という発言をされたとき、会場はウケていましたね。
 
「とっとと帰ってしまった人も居たけれど、中にはわざわざ来日してコンサートをしてくれたアーティストもたくさんいた、という話をしたんですよね。」
 
――とっとと、という言葉がとても印象的なんですね。
 
「(笑)。私けっこう使いますよね。とっとと、という言葉を。私はせっかちだから、とろとろしているのが嫌いだから。お客様が舞台に上がってくるコーナーでも、とっとと上がってきて下さい、とよく言うんです(笑)。」
 
――そういった言葉が、準備されているわけでなくて、瞬間的に?
 
「そうですね。しかも、一度受けた事は、二度使いたくないタイプなんです。だから、一日目に言ってウケたことは、次の日には二人とも使わないんですよ。次の日に使って上手くいくことはまず無いんですよ。ウケるだろうと思って言ったことがけっこうウケなかったりもするので。間とかタイミングというものが重要なので、二度使うことはないですね。」

 

子育てとの両立

 
──ご家庭もあるでしょうし、いったいどういうふうに演奏活動と両立させているのでしょうか?
 
「ほんとですよね。朝6時に起きて、長男送り出して、その後、二人目が起き出す8時半まで練習して、お弁当作って、その子と一緒に幼稚園へ行き、幼稚園でも保護者会の仕事がありますし、それをやって、それでお昼には子供が帰ってきます。そこから仕事に出かけたり、子供のお稽古事の送り迎えをしたり、夜ご飯を作って食べさせて、寝かしつけて、練習して、で主人が帰ってきてご飯食べさせて、12時まで練習して、それで寝る。」
 
──すごいですね
 
「普通はできない。」
 
──何か秘訣があるのですか?
 
「スケジュールを決めることですね。分単位で。今日も朝から家中凄かったです。ツアーの前だったので、その準備プラスそのあと子供達と合流するので、子供達の荷作りもしなくてはいけないから……泣きそうですよ。
 周りにいる方が見るに見かねて手伝ってくださるケースが多くて。幼稚園のママ友たちも、サポートさせてください、と言ってきてくださる方がいらして。子供の宿題とか提出物は前の日に確認のメールが何人かから来るので、有り難いなぁ、と思ってます。私が完璧にできる人ではない、ってみんな分かっているんで(笑)。完璧にできる人だったら誰も助けてくれないので、できない人でよかったなぁって(笑)。」
 
──お子様の教育に関しては厳しい?
 
「そうですね。私が6歳からヴァイオリンを始めて、毎日何時間も練習をしてきたから、子供にも、一日の中で何か集中するものを必ず作るという約束を取り交わし、毎日宿題、勉強、算数、国語をやるという約束もしたので、それをしないで家から出てはいけないし、しないんだったら、うちの子じゃない、という話をしています。ちゃんとやらないんだったら、ヴァイオリンかピアノさせるよ、と言っていますから(笑)。」
 
──させないんですか?
 
「本人がしたくないんですよ。親がこんだけ苦労しているのを見ると、嫌みたいですよ(苦笑)。楽器だけは嫌だって、言ってました。ようするに楽しそうじゃないんでしょうね、私が。」
 
──そうですかねぇ
 
「練習しているときは、怖い顔しているらしいですから。近寄るな、とか、邪魔するな、とか言ってるから……(笑)。」
 
めざましクラシックスの秋のツアー↓
http://www.j-two.co.jp/chisako/concert/concert.html

「めざましクラシックス」のパワー

高嶋ちさ子さん

前田亘輝(TUBE)さん

インタヴュー

 

クラシックをもっと身近に、という目的の下、ヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんとフジテレビアナウンサーの軽部真一さんの二人が中心になって始められた『めざましクラシックス』(めざクラ)が、今年16年目を迎えた。年4回行なわれる銀座・王子ホールでのレギュラー公演と、全国行脚、そしてサマースペシャルのコンサート……通算してすでに230回以上のコンサートが行なわれている。
 
今年のサマースペシャルは、「ブルボン presents めざましクラシックス サマースペシャル 2013」と題し、サントリーホールで通算229回目(7/23)、230回目(7/24)となる2日間のスペシャル公演が行なわれた。
 
アッコルドでは、7月23日、リハーサルから本番までの全てを取材させていただいた。高嶋さんは演奏のみならず、トーク、コンサート全体の統括など、八面六臂の活躍を展開する。ゲストの演奏家達を交えてのリハーサルでは、楽しい雰囲気の中にも綿密な準備が展開されていた。
 
7月23日のスペシャルゲストにはTUBEの前田亘輝さん、バンドネオン奏者の小松亮太さんが招かれ、また高嶋さんが主宰している『12人のヴァイオリニスト』出身のヴァイオリニスト松本蘭さん、12人のヴァイオリニストがゲストアーティストに迎えられ、高嶋ちさ子さん率いる演奏家(今野均さんVl.、生野正樹さんVla.、江口心一さんVc.、赤池光治さんCb.、安宅薫さんPf.)と絶妙なアンサンブルが繰り広げられた。
 
メインキャストの高嶋さんと軽部さんの冴え渡る絶妙なトークは相変わらず。また、クラシックスタイルで歌う前田亘輝さんの声もサントリーホールに響きわたり、サントリーホールの聴衆を大いに沸かせた。
 
以下、当日の模様、高嶋ちさ子さんのインタヴュー、そして、前田さんのインタヴューの映像である。
 
前田さんは、スペシャル・メドレーとして、夏を抱きしめて〜シーズン・イン・ザ・サン〜さよならイエスタデイ〜あー夏休み、そして、夏だね、十年先のラブストーリーを歌い、クラシックファンと前田ファンを沸かせた。軽部真一さんとの二重唱で、軽部さんの歌唱も素晴らしかった。
 
パワーのある歌声がクラシックとのクロスオーヴァーでさらに映え、またオーラすら感じるエンターテイナーとしての実力を遺憾なく発揮していた。

前田亘輝(TUBE)さんインタヴュー

TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2013 “HANDMADE SUMMER”阪神甲子園球場は
9月15日(日)開場16時 開演18時
http://www.tube.gr.jp/WHATS/live.html

ロマンティック・メロディーズ

〜マイ・ベスト・クラシックス

高嶋ちさ子

 

高嶋ちさ子さんの現在を表現し尽くしたアルバム。

 

収録曲:

エストレリータ(ポンセ/ハイフェッツ編)

ケルトの歌(ブリッジス)

カフェ・ミュージックより第1楽章(シェーンフィールド)

アヴァ・マリア(シューベルト)

子守歌(ブラームス)

亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー/アルトマン編)

ロマンス(バザン)

歌の翼に(メンデルスゾーン)

Blue Forest(高嶋ちさ子)

リベルタンゴ(ピアソラ)

ブラジル風バッハ第5番より《アリア》(ヴィラ=ロボス)

前奏曲とアレグロ(クライスラー)

 

演奏者:

 高嶋ちさ子Vn

 安宅薫Pf(1,4,5,8,9,11)

 伊賀拓郎Pf(2,3,10,11,12)

 近藤亜紀Pf(6,7,13)

 今野均Vn(12,14)

 榎戸崇浩Va(12,14)

 江口心一Vc(3,7,11,12,14)

 12人のヴァイオリニスト(6,10,13)

 

新編曲:

 藤満 健(4,5,7)

 加藤真一郎(6,9,13)

 伊賀拓郎(11,12,14)

 今野 均(10)


 

COCQ85022 ¥2,940(税込)

発売元:日本コロムビア株式会社

© 2014 by アッコルド出版

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